大好きな空気の彫刻@ロダン美術館

2019.03.11 Monday 09:31
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    世界で一番好きな美術館、ロダン美術館。

    なぜ好きだと思ったのかは、もうあまりよく覚えてない。

     

    一番好きだなあ、と思った時から

    ここはずっと、世界で一番好きな美術館になった。

     

    パリに行くたびに必ず訪れて

    そのたびに、なんだかほっとする。

    特別に心が躍ることもなく、感動するというわけでもなく

    なんだか、知ってるものたちの中で、移動の多い旅の中でつかのまにほっとする。

     

    あ、そうか。

    大好きって、ほんとはそんなことなのかもしれないなー。

    なじんで、ほっとする。

    星の王子さまで、きつねが王子様に言ったのは

    apprivoiserというフランス語だったけど、日本語訳では

    「ぼくを飼い慣らして欲しい」と訳されてる。

     

    でもこの言葉の底にあるのは、「時間をかけて対等な関係を築くこと」なんだって。

    ゆっくりと時間をかけて、会話をしたり世話をしたり、同じ時間を過ごしていく中で

    お互いがかけがえのない存在になっていく。

    それが、apprivoiserって言葉なんだろうなーって思うと

     

    はじめて好きだなーって思ってから、来るたびに訪れて、最初なんで好きだったのかなんてもう忘れてしまって

    それでもやっぱり足が向いて

    一番好きだなーって思う美術館になって、なんだか馴染んでほっとするなーって場所になった。

     

    それで

    その美術館の中で一番好きなロダンの彫刻が、この手の彫刻なのでした。

     

    大理石でできた冷ややかなこの手をはじめて見たとき

    ああ、彫刻というのは、その周りの空気も彫刻するのだ、と思った。

    この2つの手の中にある空間そのものが私は大好きで

    この空気の質感や温度や、そこに存在する想いや記憶みたいなものが

    訪れるたびに違うように見えて

    そこにまた、なんだかほっとするんだった。

     

    もう長い間、私は絵画が好きだと思って生きてきたんだけど

    ブロンズと大理石と石膏という重い質感を持つ物質が、まわりの空気の空間と一緒に

    モノクロームの世界を構築している「彫刻」っていう世界が、こんなにも自分を魅了することに気づかせてくれたのも

    ロダン美術館だったのかもしれない。

     

    ロダン美術館は、ナポレオンのお墓のあるアンバリッドという物々しい建築物の近くにあって

    パリの中心部の喧騒からちょっと離れて、ひんやりと気持ちが落ち着く時間が、このあたりには漂ってるような気がします。

     

    =============================

    ロダン美術館

    https://paris.navi.com/miru/4/

     

    企画展もいいのやってることが多いです。

    http://www.musee-rodin.fr/

     

     

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    外で食事をする、という人生の愉しみ

    2019.03.08 Friday 10:44
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      ブルゴーニュの小さな村 Plannayで。

      フランス人は、外で食事をするのが好きだ。

      少しでも太陽があれば、外に出よう、外に出ようと、庭やバルコニーにテーブルを出す。

      二人で座れば身動きがとれないようなアパートのベランダにも

      たいていは折りたたみのテーブルセットがあって、きゅうきゅうに座りながらでも外で食事をしたがる。

       

      そんな風に、外にテーブルを出して料理やアペリティフの準備をしている彼らは

      なんだか、とてもしあわせそうで、うきうきしている。

       

      人通りの多い道に面していても、お構いなし。

      「日本人は、これは無理だよね」と、日本通のClaudineに言われた。

      いや、日本人もピクニックやBBQは好きだ。花見なんて大変な騒ぎだ。

      でもそれはあくまでも「特別な場所」にでかけたときのことで、日常の食卓の延長を外に持っていくことは、あまりないのかもしれない、と思う。

       

      この日はちょっと肌寒くて、私は春物のコートにマフラーをして凍えていたけれど

      復活祭を控えて、一斉に花がほころびだしたブルゴーニュでは、みながなんだか浮足立ってた。

       

      あとで聞いたんだけど

      ブルゴーニュの冬は、それはそれは寒くて、空は常に灰色の雲が低く立ち込めていて

      気分が滅入って仕方がないらしい。

      Claudineは、日本に滞在していたとき、真冬に真っ青な青空が広がるのを見て驚愕したそうだ。

      冬の空の抜けるような青さに、腰が抜けそうなぐらい驚いて

      それで、日本の冬が好きになったって。

       

      長く続いた暗い冬を、石造りの窓が少ない部屋で暮らしたら

      やっぱり、外に出たくなるのかな、って思うけど

      当たり前の日常に、こんな風にうきうきできるフランスの人たちが、私はやっぱり好きだな、と思う。

       

      復活祭まであと1ヶ月ちょっと。

      日本の桜は、あとどのくらいで咲くのかな。

       

      =================================

       

      Plannayってこんなとこだよ

       

      http://trip-suggest.com/france/bourgogne/planay/

       

       

       

       

       

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      ブルゴーニュの菜の花畑

      2019.03.06 Wednesday 09:09
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        2014年、ブルゴーニュの小さな町Montbardに1週間滞在したとき

        家主のClaudineが運転する車に乗っていたら、小さな丘を抜けたとたんに、目の前の景色が黄色に染まった。

         

        なんじゃ、こりゃ。

         

        ああ、菜の花だよ、と

        こともなげに彼女は言ったけど、あの一瞬の色がどうしても忘れられずに

         

        その2年後にこの地に3週間滞在して、ブルゴーニュのちいさな村をレンタカーを借りて回った。

         

        ブルゴーニュの田園地帯は、なだらかな丘陵と小さな森と、広大な農地と、小さな村々でできている。

        4月の復活祭が近づくと、菜種油をとるために植えられたColza(菜の花)が一斉に開花をはじめて

        丘陵を抜けて風景が変わるたびに

        視界が一面の菜の花の黄色に染まっていくという

         

        もうなんだか、

        夢のような出来事を

        その年の私は、堪能した。

         

        菜の花畑は見たことがあるけれど

        ここまで、視界のすべてを埋め尽くす黄色い大地が

        何度も何度も、繰り返し現れるという、これまで見たことのない風景を見ながら

         

        ああ、人生の最後に見たい風景はなにかと言われたら

        私はきっと、これだ

         

         

        と思ったんだった。

         

        ちょっと前に、テレビでよく見る司会者さんの妻がガンで余命いくばくとなったとき

        一番行きたいと彼女が言うNYに二人で旅行したのだ、という話を聞いたことがあって、

        私だったら、ここに来る。菜の花の季節に。

        そんなことをぼんやり考えながら車窓の風景を見ていた。

         

         

        昨年、ちょっとつらい検査が続いたとき

        長い待ち時間を狭くて暗い場所で過ごして、パニックになりそうになったとき

        自分の気持を落ち着けるために、なにか安心する風景をイメージしようとしたことがある。

        その時、本当にふいに

         

        眼の前にあの、黄色い菜の花畑が広がった。

        それはもう、見事な。

         

         

         

        それから1時間、私は一面の菜の花と、菜の花の香りの中で過ごして

        しんどかった時間は、しあわせで満ち足りた時間に塗り替わって

        人の脳裏にのこるイメージの力の偉大さを、改めて思った。

         

        それで、ああ

        あの時本当に、行っておいてよかった、と思ったんだった。

         

        写真や映像ではわからない

        すべての五感を伴う風景の記憶って

        すごいな、って思う。

         

        脳裏にそんな記憶を残すのって、あながち無駄なことじゃないような気がします。

        また、行くよ。

         

        ========================================

        ちょこっと情報(たまには役に立つことも書いてみようと思う)

         

        Montbard へはパリからTGVで1時間ほど。

        小さい町だけれど、世界遺産のフォントネー修道院があるので、市内のホテルやツーリスト・インフォメーションも充実してるよ。

        パリからTERという高速鉄道に乗って小さな町を訪れる選択肢もあるけれど

        フランスの新幹線TGVの最初の停留所Montbardを拠点に、バスや車であちこち行くのも楽しいと思います。

        https://www.ot-montbard.fr/

         

        フランスのもっとも美しい村 に認定されているすごく可愛くて美しい村が、このあたりにはいっぱいあるので

        あてなくドライブしても楽しいよ。

        とにかくどこに行っても美しい。おとぎ話みたい。

         

        フランスのレンタカーはすごく安いんだけど、マニュアル車しかないことがあるので、小さな街で借りるときは要注意なのだった。

        このときもMontbardではマニュアル車のみしかないって。なんだそりゃ。

        AT車を借りるなら、Dijonという隣の大きな街へ。

        フランスでのレンタカーの借り方 https://paris.navi.com/special/5036981

         

        菜の花の季節は4月初頭ごろ。

        フランスの冬は果てしなく寒く、空は灰色でどんよりしているので、タイミングが合わないとちょっと悲しい。

        一度開花するとあとは早くて、一気に春になる。満開の菜の花畑は、そこかしこで見られます。

         

         

         

         

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        「しあわせな写真」というちょっとした試み

        2019.03.04 Monday 01:25
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          2018年11月。

          水戸芸術館に中谷芙二子の霧の彫刻を見に行ったときのこと。

          思いがけず田中泯のパフォーマンスがあると知って、予定を延ばして美術館のカフェに座って時間を潰してた。

          晩秋の晴天の午後。

          少しだけ傾きかけた太陽が、美術館の中庭に差し込んで、逆光になった視界の眩しさに目を細めて芝生の上を行き交う人達を眺めていたら

           

          ちょっとした衝撃のようなその風景に

          動けなくなってしまったんだった。

           

          なんだろう、

          なんというか

           

          「幸福」というものを一枚の風景にしたら

          いま目の前にあるこの一瞬だけで、もう完璧なんじゃないか。

           

          そんな気分になったんだった。

           

          おぼつかない足取りで走り出す幼子を、追いかける父親。

          繰り返し、繰り返し、走っては止まり、転び、笑い、また立ち上がり、走り出す子供を照らす光の輪。

          談笑しながら歩いてくる三世代の女性たち。

          いたずらざかりの男子の、成功しないまま何度も繰り返される横転の練習。

          リードを離れて走り出すプードルと、それを追いかける若い女性。

           

          レクチャーに向かうのだろうか。

          バインダーに挟んだレポート用紙を確認しながら黙々と歩いていく学生たち。

          パンの箱を運ぶカフェの若い女性に声をかける、美術館の学芸員。

           

          中庭にしつらえた中谷芙二子の霧のインスタレーションから流れてくる水蒸気の粒が

          光をシフォンの布に封じ込めたように拡散させて

          すべてが、逆光の光の中で幻のような影になって、動いてた。

          光と、人の動きと、かすかなざわめきと。

           

          ああ、もうこのまま時が終わってもいいや、と思うぐらい

          あのひとときは、無性に「完璧にしあわせな風景だ」と思ったんだった。

          美しかった。

          すべてが完璧で、満ち足りてた。

           

           

          それで思ったんだけど

           

          しあわせのイメージ

           

          って、一体何なんだろう。

          なんだか、とてつもなく不思議な気持ちになって

           

          それで、しばらく「しあわせ」な風景をコレクションしてみようと思ったんだった。

          フランスで撮った写真が多くなると思うけど、また書いてみます。

          今日はそんな気分なのでした。

           

          あ、冒頭の写真は、文中の「完璧に幸せな風景」とは違うものです。

          ほんとうにしあわせだった時、人って写真を撮るのを忘れちゃうのかもしれないです。

           

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