Doing nothing often leads to the very best kind of somethingー何もしないことが、最高のなにかにつながる

2018.09.25 Tuesday 15:16
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9月もあと数日で終わり。

 

なんかものすごい転機のような年だったなあ、って改めて。

 

いろんなことが落ち着いてきて、このところは特に

フラットな気持ちで過ごせるようになった。

 

なんつか、嵐みたいな中に突入したときは

たぶん大事なのはポジティブになることなんかじゃなくて

フラットでいること。

それ、今回強く思ったよ。

 

フラットが大事。

フラットがいちばん。

無理して前向きに物事考えちゃあかん。

ポジティブは危うさと背中合わせだ。

 

 

 

それでね、なんかもう、ブログに物書くとかそういう指向にメンタルがまったく向いていかず

お仕事もすっかりおやすみして

 

体調が万全ではなかった最初の頃はまだしも

徐々に日常生活を普通にできるようになってきたら、何もしないことが苦痛になりはじめたこともあったけど

そんな時間の流れ方に慣れてきたら

何もしないって、なんかものすごいことだー! ってしみじみ思うようになった。

 

というか、

就職して結婚して子供持って働いて。

そんな時間の中で、「何もしない」なんて日々って、まったくなかったんだー! って

当たり前のようなことに改めて気づいて、もうびっくり。自分で自分にびっくり。

 

会社に復帰する必要もなく

なにかに追われることもなく

 

もう、あとは自分でどう暮らしていくのかを決められる中で

今の「何もしない」心の状態になれたことは、病気がくれた贈り物だって気がします。

神様、ありがとう。

 

 

 

という、そんな心境で、ものすごく久しぶりに一人で映画を観に行って

そして、タイトルの言葉と出会う。

 

Doing nothing often leads to the very best kind of something

 

何もしないことが、最高のなにかにつながる。

 

 

プーと大人になった僕 の一説だよ。

もうほんと、プーさんは私の思春期の脳細胞の多くを作った小説なので、もう全編涙腺崩壊だったけど

頻繁に出てくる

 

「何もしないこと」

 

という言葉は、本当に今の自分のキーワードなので頭ぶんぶんうなずきながら帰ってきた。

 

 

「何もしないをしている」は、原作の中でも秀逸なクリストファーとプーのやりとりのひとつ。

 

"Where are we going?" said Pooh, hurrying after him.
"Nowhere," said Christopher Robin.
So they began going there, 
and after they had walked a little way 
Christopher Robin said.
"What do you like doing best in the world, Pooh?"

(And of course, what Pooh liked doing best was 
going to Christopher Robin's house and eating.)

"I like that too," said Christopher Robin, 
"but what I like doing best is Nothing."
"How do you do Nothing?" asked Pooh, 
after he had wondered for a long time.
"Well, it's when people call out at you 
just as you're going off to do it. 
What are you going to do, Christpher Robin, 
and you say, Oh, nothing, and then you go and do it."
"Oh, I see." said Pooh.
"That is a nothing sort of thing that we're doing now."
"Oh, I see." said Pooh again.
"It means just going along, 
listening to all the things you can't hear, 
and not bothering."

 

 

これまでの自分では、

働いて子育てして家のことをする上では、どうやって無駄な時間を減らして

時間を効率的に使うかばかり考えてきたから、たぶん「何もしない」はネガティブなことだった。

 

そんな時

児童書をたくさん作っていた編集者の叔父が、私にかけてくれた言葉が

 

「いづみちゃん、ちゃんとぼーっとしてるかい。

 

 ぼーっとしなくちゃだめだよ。

 

 人生の大切なことや、創造的なことは、全部ぼーっとする時間の中から生まれるんだよ」

 

 

時短の技なんかを本にしていたわたしを見て

叔父はたぶん、ちょっとした危うさを感じたのかもしれない。

私は、はっとして、だから、それからなるべくぼーっとする時間を持つようにして、自分がエンデのモモに出てくるような「時間泥棒」の片棒を担がないようにと心に言い聞かせてきたけれど

 

プーと大人になった僕 の映画を観たとき、叔父の言葉が改めて心に蘇って

ああ、なんと含蓄のある優しい言葉だったのだろう、としみじみ反芻したんだった。

 

 

いま、とてもフラットで

そして、何かになろうとか

何かを成そうとか

何者かでいようという、そんな気持ちがきれいに削ぎ落とされて

 

ただただ、自分がいまここに何もしないでいる、っていう時間がゆるやかに流れていて

 

 

病気になったことは

こんな自分に出会うための贈り物だったなあって思って

 

あー、ほんとにありがたいなあって思う。

プーにも、叔父にも、ありがとう。

 

これからは、何者でもない自分と、向き合っていきたいな。

先日亡くなった樹木希林さんの「私は、私」も、今の自分にぐっとくる映像だった。

 

やっぱりフリーランスで頑張らなくちゃって思ってた時代は

自分が何者かである必要があって、何かを成さなくてはって思ってたかもしれない。

 

もう、何にならなくてもいいんだよ、って思えると

なんか、すごく楽になって

そして、なんかとても、自由な気持ちになれる。

 

 

 

ガンはすぐに死なないで、準備ができるからとてもいい死に方って、教えてくれたのは希林さんだった。

 

私は、神様にまだ来なくていいよ、と言われたようなので

 

人世の先人が教えてくれる大切なこと

ひとつひとつ、なるほど、こういうことだったのか、って発見しながら

ゆっくりゆっくり

準備をしていく時間を持ちたいなあ、って思う。

 

「死」をちゃんと考え出したら、生きることが俄然面白いと思うようになった。

そんなことを考えてる雨降りの午後です。

時間が、優しく流れていくよ。

 

一ヶ月ぶりの、元気でやってます、って近況報告でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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