思い通りにならなかったと思ってたことが、実はちゃんとできてたことがわかり泣いた。人生捨てたもんじゃないね。

2019.06.04 Tuesday 14:51
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    尊敬する人に、大谷翔平くんが書いていたという72アクションのアプリがすごくいいよ、と教えてもらう。

    無理しても全部埋めてみるといいというので、やってみたら、とっちらかって何が何だかわからなくなってしまった。

    行き先の時間がどんどん短くなって、フットワークも悪くなっている私のような年代の人間には、72個も空白を埋めるのは、やることが多すぎて道に迷った。

    ほいでも、やってみた甲斐はあったので、そのことを今日は書いてみる。

     

    書き出してみて、改めてほうほうとわかったのは

     

    まあ、なんというか

    長く生きてきて贅肉や無駄な知恵がついて

     

    自分がいちばん自分ってものをわかっていなんだなあってことじゃった。

    結局、何をしたいかということよりも

    私はいったい何者なのじゃ、というところに焦点が移って

     

    贅肉を削ぎ落とした骨格のところにある「自分」みたいなものを探す作業にいつしかなっていった。

     

     

    制作とかしていると

    ほんと

    知恵と贅肉で動きが鈍って、邪念ばかりが生まれて路頭に迷うことが増える。

    もともと、私って何が好きなんだっけ? とか

    何をしているときがしあわせなんだっけ? とか

    初心に戻って、思うがままに書き出していくのは本当に面白かった。

    いや、書き出すってほんとに大事。

    実際はしごくシンプルなことを、うだうだと悩んでいたり、勝手にオーバーフローしていたりする。

    書き出せば、元の核は豆一粒(真珠一粒、のほうが素敵か)ぐらいのことじゃん、ってことがよくわかる。

     

    それでふと思い出したのが

    私の絵の原点ともいえる2冊の本だった。

     

    これと、これね。

    アマゾンでまだ買えます↑

     

    こちらもまだ買えるよ! すごいなああ、いいなあ。↑

     

    私はこの2冊の本を、自分のイラストのバイブルのように大事に大事に眺めて過ごしていた時期があって

    ここ20年ほどは、ずっとトイレの飾り棚に2冊だけ置いていたんだった。

    本棚の中は見えないけれど、トイレの中ならいつでも目に入る。

     

    20代の頃の私は、こんな絵を描く人になりたかった。

    キッチンの絵や、料理の絵、子どもや動物の絵を色鉛筆と水彩とパステルで描き続けていて

    会社員をやめて独立したあとは、ちょろっとそんな絵でホテルの機関紙に料理や食材の絵を描いたり

    一度はホテルの外壁のバンナーのイラストを任されて、私の絵が都内のホテルの壁にでっかく掲示されていたこともあった。

     

    美大に行ってアートを学ぶことができなかった自分は

    イラストレーターにならなれるんじゃないかと思ってたんだった。

     

    いや、何にでもなれたんだけど、いろいろ無知だったからそんなふうに思って生きていた。

     

     

    結局、紆余曲折を経て思いがけず文章を書く人になり

    まんがみたいな挿絵を描く人になり

     

    当初思ってた夢みたいなところからそれてしまったなあ

    そんで、今ではもうこの本のような画風にはまったく興味がなくなったなあ、ってずっと思っていたけど

     

     

    今日、72個のマス目を埋めながらこの2冊の本を思い出してトイレから持ち出して

    そりゃあもう、ものすごく久しぶりに中を開いて

     

    そんで、なんかわからんけど、ごうごうと泣いてしまったんだった。

     

    一番好きだったこの本の中には

     

    Illsutrated by Angela Barrett

     

    キッチンから見える食卓や外の景色の絵がたくさんあって

    それは先日、東京の台所で大平一枝さんが書いてくださった、自分の子供時代の思い出にきれいに重なった。

     

    https://www.asahi.com/and_w/20190227/123817/

     

    食卓や外界に背を向け続けていた若い頃の私は、たぶん、この本の中の風景を夢見ていたのかもしれないんだった。

     

    もう一冊の本の中にも、そんな風景がたくさんある。

     

    Illsutrated by Leslie Forbes

     

    台所が好きで好きで。

    でも台所にいる自分が辛くて。

     

    イギリスやイタリアのキッチンの風景を、必死で真似して描いていたのかもしれない。

     

    結局、こんな絵を描くイラストレーターにはなれなかったけれど、でも改めて

     

    Illsutrated by Angela Barrett

     

    こんな世界にまつわる家事の本を書いて出版することは、少なくともできたんじゃないか。

     

    本当はもっと、文学的なことや、芸術的なことがしたかったんじゃないかとずっと思っていた。

    世俗的なことに関わり続けることへのコンプレックスを抱いたことも(実は)、あったりした。

    生活コラムニストって、なんだか表層的というか、深さが足りないような

    もっと文学やアーティスティックな世界に生きたかったような、そんな欠落感がどこかにあったんだけど

     

    72個の空白を埋めながら、最後に行き着いたのは

     

    結局自分は、暮らしや生きることにつながる、地に足がついたことが好きなのだ、ということだった。

     

    ちゃんと、ずっと

    好きだったんだ。

     

     

    だから、好きな世界にいられることを、ちゃんと感謝しなくちゃ。

    持っていないものを欲しがる前に、持っているものをちゃんと愛おしまなくちゃ。

    んだんだ。

     

    それでね、もうひとつびっくりしたのが、

     

    ただ絵が好きというだけで買ってきて、中身についてあまり注意を払っていなかったこちらの本は

    改めてみてみたら、題名はトスカーナの食卓 なのだった。

    トスカーナをぐるりと回っていき、フィレンツェに行き着く。

    あれ、そんな旅を、4月にしたばかりじゃなかったか。

    ほら、ここには

     

    Illsutrated by Leslie Forbes

     

    サンジミニャーノの食卓がちゃんと書いてあった。

    このオリーブオイルのボトルや、チーズの包みを

    20代の私はどれだけ真似して描いたことだろう。

     

    買ったときはタイトルをみても何もピンとこなかった土地だったけれど

    何十年も経て、ちゃんとその土地を旅して

    その土地の食べ物を食べて、今ここにいる。

     

    ジェノバからサン・ジミニャーノ、ピエンツァを通ってフィレンツェへ。車の旅@2019

     

     

    トスカーナのオルチャ渓谷をドライブして旅するなんて、20代のころの私は思いもしなかったと思う。

     

     

    「自分の核に何があるのかわからなくなった。

    本来なりたかった自分、したかった仕事とはそれた道を歩いてきた」

     

    そう思い続けてきたけれど

    自分の核にあるものはいくつになっても結局変わらず

     

    違う場所に来てしまったと思っていたことは

    ちゃんと地下の水脈でつながっていた。

    夢なんてかなわなかったと高をくくっていたけれど

    私の夢はちょっと形を変えながらも、ちゃんとすばらしくかなっていたんだと思う。

     

     

    なにものかになりたいと願うより

    ただただ

    愚直に自分自身で居続けること。

    できない自分を奮い立たせるよりも

    ありのままの自分を大事に思って、自分でいるための努力をすること。

     

    なんかそれでいいんだなーって思う今日。

    そしてそんなことが思えるのも、台所の話を書いてもらって、トスカーナを旅したあとの今だからこそで

    そのタイミングで72個のマス目に向き合えたのは、偶然ではないような気がしてる。

     

     

    人生、結構捨てたもんじゃないのかもしれない。

    ちょっと、いい午後だった。

     

     

     

     

     

     

     

    category:Dairy Tokyo | by:武蔵野婦人comments(2) | - | -
    Comment
    ありがとうといいたいです。今日は少し心がざわざわして、自分が選べなかった、選ばなかった人生のことを考えたりしたんだけど。今、ここで地味に生きてる自分の暮らしとありようをもう一度ちゃんと感謝の気持ちをもって見つめてみようと思いました。そして、また、一歩を踏み出そうと。ありがとう。
    • りょう
    • 2019/06/12 10:24 AM
    >りょうさん
    素敵なコメントありがとうございます! 心がざわざわする日、私もあります。天気が悪かったりすると、なおさらざわざわ。しおしおだったり、ひりひりだったり。ああ、でもそうか。そんな時に一度自分の立ってる地面を見つめてみることも必要なのかもしれません。大事なことを教えてくださって、こちらこそありがとう!
    • 武蔵野夫人
    • 2019/06/12 10:39 AM








       

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