私とフランスー夏のブルゴーニュの二人展と、その展覧会のための渡仏をやめたこと

2018.08.01 Wednesday 13:58
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    本来なら7月10日から展覧会のためにフランスに行くはずだった。

    滞在3週間。

     

    それが、いま日本にいる。

    肺にガンがみつかって、いろいろすごく悩んだのだけれど、渡仏を断念したんだった。

    最初は、大したことないだろから、行けばいいと思っていた。

    最初に診断してくれた医師も、「さほど緊急でもないから行ってもいいと思う。でも決めるのはあなただから、次の診療までにどうするか決めてきて」と、いたってのんびりした判断だった。

    まわりの友人も、「絶対行くべきだ」と言っていた。

    でも、やめた。

     

    格安航空券だからキャンセルしてもお金はほとんど戻らなかった。

    後半にパリで滞在しようと思っていたアパルトマンの費用はすでに振込済みでほとんど戻らなかったし、空港から展覧会のあるブルゴーニュ間の往復TGVも、半分無駄になった。

     

    展覧会のための作品はもうできていて、スーツケースにつめて担いでいく予定だったのを、急遽、荷物にして航空便で送った。

    主催してくれるアーティストさんと、向こうの友人にいろいろ連絡をして、展示などを手伝ってもらうことができたので、展覧会は無事に開催できて、初日に、さっそく2点売れたよ! と連絡があった。

    ほんと、ありがたい。

     

    その場にいられないこと、私を招聘してくれた人に迷惑や手間をかけたことなどを考えると、やっぱり残念だなあと思う。そして申し訳ない気持ちになる。

     

     

    でも、不思議なことに「ついていない」とは思わなかった。

    無理して行くこともできたけれど、やめたのは病が恐ろしかったとか、不安だったから、という理由じゃなく

    ただ、ただ、なんとなくこれは

    どっかで何かに決められたシナリオなんじゃないか、と思ったからなんだった。

     

     

    まだまだ迷っていたフランス行きだったけれど

    なかなか予約が取りにくいと言われていたセカンドオピニオンの日程が、羽田からパリに発つ予定だった日に指定されたとき

    ああ、もうそれに従おうと思ったんだった。

     

    渡仏をやめようと決意したとたん

    飼い犬の老犬が、父の死去で一人暮らしになった母のもとにセラピードッグとして行っていたんだけど

    その犬の体調がひどく悪化して、渡仏の2週間前にうちに戻ってきた。

    そのまま渡仏しちゃってたら、もしかしたら渡仏中に亡くなってしまっていたかもしれない。

    息子の急な転居もあった。そのフォローもできなかったかもしれない。

    いろんなことが、本当に、一気に6月にやってきたんだった。

     

    フランスには行かなかったけれど、その間に起きたことは

    なんだか全部、ちゃんと決まっていたことのような気がした。

    誰が、何が決めているのかはよくわからないけど

    どこかの時点から、もう采配されたものだという気がして、だからどう転んでも、どこに進んでも

    その流れに乗っていればいいのだ、という気になってる。

    治るよとか、大丈夫だよとか、そういう方向ではなくて

    なんかもう、ちゃんとシナリオがあるみたいだから、私ちゃんと果たしていくね、と、そんな気持ち。

     

     

    今病気がみつかったのは、偶然だったのだけれど、肺の影は4年ぐらい前から指摘されていたものだ。

    みつかるまでの大きさになるまでに、4,5年はかかっているのではないか、と最初の医師に言われた。

    (これはあくまでも仮定なので、実際はぜんぜん違うのかもしれない)

     

    え、それだったら

    もっと早くみつけてもらっていたら、もっと安心だったんじゃないのかな。

    最初、そう思った。

     

    でもね、

    去年、フランスで個展ができたこと

    一昨年、美大に通いながら、フランスに滞在して友人ができ、グループ展に参加したこと。そして東京で2人展をできたこと。

    その前の年に、ソルボンヌ大学に通いながらパリに1ヶ月以上滞在して、周辺の国も回れたこと。

    そんなことを思い出してみたら、その間にみつからなくてよかった、と思った。

    絶対、いま、ここにいる私とは違っているはずだから。

     

    今年の2月に肋骨にヒビが入って通院したとき、みつかっていたらよかったのに、と思ったこともあるけれど

    その時点でみつかっていたら、私の夏のブルゴーニュの展覧会は、その時点で中止になっていたと思う。

     

    展覧会場に行けなかったのは本当に残念だったけれど

    直前だったからこそ、もう案内も印刷済みで、宣伝もいろいろ行われたあとだったから、中止という選択肢にはならなかった。

    そして、今年の前半はその展示のために、かなり集中して制作することができて

    そのプロセスが大きく自分を成長させてくれたなあ、って思った。

    もっと前だったら、今の作品はできなかったし、展覧会も開けなかった。

    そして、去年と一昨年の積み重ねがあったから、不在でも手伝ってくれる人たちがいて、心配してくれる人たちがいて

    フランスから大丈夫? と送られてくるメールを見ながら

    ああ、私はなんて恵まれているんだろうって本当に思ったんだった。

     

    ぜんぶぜんぶ

    タイミングとしてはとってもよかったんだ、って思うようになった。

     

    そんで、何よりもすごいなあって思うのは

     

     

    私、フランス行くはずだったから、今月なーーーーーーんの予定もないのよ、ってこと。

     

     

     

    仕事の工面いらない。

    検査予定日とか、手術日とかの工面いらない。

     

    もう、完全ストレスフリー。

    このすごさって、ほんと、改めて痛感しているところです。

     

     

    ほんと、仕事の采配を考えながらの手術とか入院とか

    それの説明とか

    いろいろないだけで、本当に心安らかに治療に専念できた。(できている)

    フリーランスだから自分の仕事の采配は自分でするしかないので

    そういうストレスがないだけで、本当に助かってるー。

    ありがたいです。

     

     

    もう、シナリオがあるとしか思えない。

     

    ようわからんけど

    とにかくそんな感じなので

    凹んだりめげたりせずに、流れに沿っていこうと思うー。

     

     

    今回、6月末に検査入院をしたのち、体調を崩して息切れでしゃべれなくなり

    ちょうど地方講演の日程が入っていた前日に、立ち続けることもしゃべることもできなくて

    これは本当に無理だと思って、前夜に緊急で「明日無理かも」と相手先に連絡を入れたことがある。

     

    すみません、本当に。

    私、こんな風に直前で仕事をキャンセルしたこと、これまで一度もないんですけど、今回だけはちょっと。。。。。

     

     

    そう言いながら

    くやしくて

    くやしくて

    悲しくて

     

     

    (ほれ、本来真面目だから>笑)

     

     

    こんな思い、絶対にしたくない! って思ったんだった。

     

     

    結果的に相手の方がとてもおおらかで

    「明日の朝具合よければ来てくれればいいし、悪かったら直前でも大丈夫ですから!」って言ってくれて

    それで、翌朝「なんとかなるかも。。。。」って無理してでかけたら

    2時間、ちゃんと講演を果たすことができて

    来場してくれた人たちに「ありがとう」「よかった」っていっぱい前向きな言葉もらって

    それでエネルギーもらって帰ってきたんだった。

     

     

     

    いろんな意味で逆らえない感じの流れの中で

    怒涛の2ヶ月がすぎて

     

    そろそろ、なんとなくいろんなことがボディブローのように効いてきたりして。

    これからどんな風に自分の中で今回のことが消化されていき

    どんな風にこの病と付き合っていくことになるんだろう、って

     

    まだまだ息切れと咳で普通には生活できないんだけど

    少しづつ日常を取り戻している今日です。

     

     

    暑いねー。

    とろとろ溶けてしまいそう。

     

     

    category:アートと暮らし en France | by:武蔵野婦人comments(2) | - | -
    Comment
    順調に回復されているようでほっとしています。
    自分だけが知らない予定調和なのかなって思うほど歯車がかみ合う時、ごく稀にありますよね。そういうのはきっと何かでがんばった分のrewardなのだろう個人的には思っています。 

    予後お大事に、ご安全に、どうぞゆっくりとお過ごしください。
    • k子
    • 2018/08/01 2:59 PM
    >k子さん
    ありがとうございます! 今回何度も「ラッキーだったね」と言われました。で、すぐに訂正して「あ、病気になったのはアンラッキーだったけど。。。。」と>笑。 物事の良い面と悪い面と、その中にrewardを見つけ出す目と。ゆっくりやっていきたいと思います。
    • 武蔵野夫人
    • 2018/08/02 9:49 AM








       

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