メメント・モリ 人生100年時代に死が見えない不思議

2018.07.04 Wednesday 04:20
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    ずっと考えていた話題が、慌ただしさの中で放置されていううちに心の中で遠のいていくので、とりあえず今のうちに書き留めておこうと思う。

     

    6月に58歳になった。

    TVの健康食品のCMとか、もう一億Forever young状態だし、人生100年時代なのだとあちこちでうるさいから、今の時代58歳はまだ若いということらしい。確かに、見ばえとしては、58歳の自分はまだ、若い。

     

    それでも、私の中では今は十分に成熟した年齢で

    再来年が還暦だと言われると、なんだかもうずいぶん遠いところに来たもんだ、と本当に思う。

     

     

     

    昨年のはじめに息子が独立し、その後すぐに父が倒れ、一年ほどの闘病を経て昨年末に亡くなった。

    その後はひとりぐらしになった母と、老犬になったパグのちょこのフォローで、同じくひとりぐらしになった自分のフォローがうまくできないまま、漠然と、自分はこれから、どうやって生きていくのだろうということを考えていた。

     

    37歳でフリーランスになってからずっと、私の毎日は、仕事と育児と家事と、それからその他いろんな楽しいことや面倒なことで24時間が埋め尽くされていて、なんだか息をつく暇もなかったなあ、と思う。

    でも、それは同時にひどく充実した、魅力に満ちた時間でもあって

    おそらく、会社員として時間を拘束されなかった私は、その分、濃厚に人生の時間を消費したような気がする。

    やりたいことは、ちゃんと全部やった。

    そんな風に思うことが増えた。

     

    昨年、なんとなく子育てを卒業したのだなあと思った日、つれづれと自分の人生を振り返って思ったのは

     

    ああ、私

     

    生きることを、さぼらなかった

     

     

    ってことだった。

    まじめでも勤勉でもなく、へたれで、手抜きずぼらが得意で、学校の授業も面倒な役割もさんざんさぼってきたけれど

     

     

    生きること

     

    だけはさぼらなかった

     

     

    そんな気がした。

    生きることはときにひどく困難だった気もしたけれど

    そのときどきにおいて、とりあえずはちゃんと生きた。

    たぶん、結果として、とてもしあわせだった気がする。

    そんで、ふと気づいたら58歳だけれど

    もうすでにやりたいことのほとんどはやってきてしまって

    あれ

    残った時間、私は何をして生きていくのかなあ。

    会社員で定年があって、時間の使い方がガラリと変われば、その後の人生でやりたいことがたくさんあるように思うけれど

    やりたいことはとりあえずできる同じ時間が続いていく自分にとって、ここから先の時間をどう生きていくんだろう。

     

    そんなことを考えていた。

    子育てで奔走していた時期には、考えもしないことだった。

     

     

    12年が5回まわって還暦になるって

    たぶんそういうことだよなあ。

    ひとまわりして、することちゃんとしてきて、なんか残りはおまけみたいなもんだから

    そこで何をしていくのかって、今すごく考える時期なんだよなあ。

    私はそう思うんだけど

     

     

    なんか世の中的には、人生はまだまだずっと同じように続いていて

    40代のようなスタイルを維持して、走って泳いで、そしてまだまだ現役で働き続けて

    途中で病気になっても現代医学で治癒するからそのまま100歳まで生きるのだ、ということらしい。

    なんだろう、その根拠レスな自信>笑。

     

    なんか、とてもとても、疲れるなあと思った。

     

     

    100%の人が全員死ぬのに

    いま生きている中で死が語られず、若いこと、生きること、働くことが語られ続けることに、なんか疲れてしまうんだと思う。

    人生100年時代なんて言われて、「死」が見えなくされている今って何なんだろう。

    長寿社会は素敵なことかもしれないけれど、高齢者層がなかなか死なないことで、日常から死が遠くなった。

    そこにふいに忍び寄ってくる「死」は、だからやっぱり怖い。

     

     

    少し前に、友人がまだ若い息子を亡くした時

    彼女のもとに飛んでいく勇気が私にはなかった。その現実が恐ろしくて。

    久しぶりの便りで、ステージ4のがんで闘病中だと伝えてきた幼馴染に

    すぐ返事が書けなかった自分がいた。どう向き合えばいいのかわからなくて。

     

    そして先日、辰巳渚さんが52歳で事故で逝ってしまった。

     

    死の前で自分があまりに無力で、なんの準備もできておらず、ただ立ちすくむだけだという現実に、うちのめされた。

     

     

    天寿を全うしたであろう父のときは

    死よりも、死の儀式に消耗して、体調を崩した。

    直接、死の儀式に関わったのは、思えばはじめてのことだった。

    自分のもろさが、情けなかった。

     

    ああ、思い出した。

    94歳で亡くなった祖母は、死の間際に病院のベッドで「死にたくない!」と叫んだのだった。

    強烈だった。

     

     

    そんなこともあって、今年のはじめぐらいから、私は、私の店じまいをどうやっていくのか

    ということを考えるようになった。

     

    友人たちからは、まだ早すぎると言われたけれど

    自分としては十分に、もう、そういう年齢なのだと思ったんだった。

     

    人生を振り返ってみたら

    20歳の成人式までは、自分の人生を構築するために勉強したり経験することで過ごして

     

    その後の20年

    40歳までは、社会の中で自分の居場所を作るための基礎づくりをした時代だったなあと思う。

    就職や転職、結婚や出産をして、「働いて生きていくこと」の基礎を作った。そんな時代だった。

     

    ほんで、そこから20年、

    俗に言う還暦までの間に、自分が作った基礎をもとに、社会に何かを還元していく。

    それは自分が「何者かになる」ための時間だったんじゃないかと思う(まだ2年あるけど>笑)。

     

     

    60歳からの時間は、だから、そんな風に店を出した自分が、ちゃんと店じまいをするための時間なんだ。

     

    って

     

    そう思ったんだった。

    「家」が延々と続いていく時代はもうなくて、私などは特に、最後はひとりなのだから

     

     

    敷地いっぱい広げた店を

    きちんとたたむ。

    それが今の時代を生きる、自分の人生に対する落とし前で

     

    どこまでも「生きること」に向き合うよりは

    どこからかはちゃんと、「死ぬこと」に向き合わないと

    いかんのじゃないの?

     

     

    そんなことを今年のはじめからよく考えていたんだった。

     

     

     

    還暦で人生がゼロに戻るのが60歳だとすると

    そこから先の店じまいが、次の20年後の成人式の80歳まで。

     

    生まれてから成人するまでにしてきたように、きちんと別の世界に行くための準備をする。

    保育園、幼稚園までかもしれない。

    小学校卒業まで行けたら72歳だ、御の字だ。

    中学で75歳、高校までなら78歳。こりゃ、進学や受験もあってしんどそうだなあ。

    大卒で82歳、そこから先は大学院で>笑 まあ、自分がどこまで行けるのかわからないけど

    そこまで行くには原資も必要だから

    ここから先は長ければよいってこともないように思う。

     

     

    彼岸に行くための成人の準備を

    そろそろ始める年齢なんじゃないのかな。

    生きることもとても大事だけれど

     

    メメント・モリ

     

    死を見据えること。

    いま、すごくそれ大事。

    そうじゃないと、立ちすくむ。

    いままでの枠組みのままでは、ここから先は無理。

    まだ早いの?

    そんなことないよね。

    そんなことを考えていた今年のはじめからの私なのだったよ。

     

     

    ってことを書いておこうと思いつつ、すっかり時間が経ってしまったので

    今のうちに。

    じゃあ、おやすみなさい。

    category:Dairy Tokyo | by:武蔵野婦人comments(0) | - | -
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