フランスで「こけし」の説明をしたらなんだか大変なことになってしまったお話

2017.09.26 Tuesday 15:15
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    フランスにアートレジデンスに来ています。

    なんでそうなったんかというあたりは長くなるのでまた改めて。

     

    それで、こないだこっちのアーティストさんたちとごはん食べてたときにした話について、書く。

    「こけし」がテーマ。

     

    レジデンスするアトリエを借りる前日にJoignyというパリから1時間ほどの街に到着して

    こちらに住んでいるフランスの友人の家に1泊させてもらいました。

    彼女はパリから移り住んできた脚本家&画家の女性。私よりずっと若くてとってもきれいで、ほんまええ子なんよ。

    (突然関西弁)。

     

    彼女の家には、ポーランドからやってきた写真家の、これまたかっこいい女の子が

    この街に住めないかと家と仕事を探すために一時的に滞在していて、朝おしゃべりをしていて、こんな話になった。

     

    私が日本から持参した、七福神の絵が描いてある九谷のぐい飲みを、前の夜にそれぞれの人にあげたんだけど

    それがすごく気に入ったからここに飾った! とクレールが言う(画家の女の子)。

     

    ーうん! 私も! ほんとうれしいよ、ありがとう、とウルスラ(ポーランドの写真家の子)も言う。

     

    すると、その横に日本のとても古い小さなこけし人形が飾ってあって

    そういえば、とウルスラが話し出した。

     

    ーそれって、やっぱり日本のものでしょう?

     私前に友達にもらっんだ。

     それは身を守ってくれる幸福のお守りなのよね? だから片時も離さず持ち歩いているんだけど。

     

     

     

    あれ、こけしってそうだっけ?

     

     

    なんか適当にうなずいておけばよかったんだけど

    ついつい調子に乗ってこんなことを言ってしまった。

     

    あー、そうだね。でも日本では持ち歩くお守りというのではないかも。。。。。。。

     

    ーえ、じゃあどういうものなの?

     

    「こけし」というのは日本語で「消えた子供」という意味にもなるんだよ

     

    ーえ!?

     (一同蒼ざめる)

     

    いやいや、いろんな解釈があるんだけどね。ただ、昔日本の農村はとっても貧しくて、子供が生まれてしまっても育てられないということも多くて、やむなく生まれたばかりの子供を処分したりもしたの。その時、その子供の代わりにこけしを飾ったという人もいる。

     

    ー!!!! じゃあ、これは死んだ子供の身代わりなの?

     

    ここで家主のクレールが、あわてて飾り棚からこけしをどけて、ウルスラに返しながら

    ー前にも言ったけど、私これ、好きじゃなかったの。だからこれはもう置きたくない。あなたが持っていって。

     

    ウルスラも震えながら

    ーなんてことなの! 私はこれは私の身を守ってくれると言われたから、世界を旅していたここ2年の間、ひと時も離さずに身につけて、寝るときは寝室に飾って、ずっと持ち歩いていたの。幸福のシンボルと思っていたものが、殺された子供の身代わりだったの?

     

     

     

    もう、私はすごく慌ててしまって、なんとか話を元に戻そうとこう言った。

    いやいや、民俗学としてそういう解釈もあるっていうことで、こけしは日本の多くの観光地で作られて売られているし、たくさんの人が買って飾ってるよ。

     

    ー待って。どうして殺した子供の代わりに人形を飾るの?

     

    えっと、その子が家を守ってくれると考えたんだと思う(しどろもどろ)

     

    ーなぜ殺した子が家を守るの????

     

    ひえー。

    ちょっと待って。ちゃんとした由来を説明するから。。。。。

     

    、、、とあわててwikiを出して、フランス語での説明を試みる。

     

    あくまでもそういう解釈があるってことで、本来は神様が降りてくる場所だったり、子供のおもちゃだったり、とにかく日本の地方でよく作られているんだってばー。

     

     

     

     

    がしかし、時はすでに遅く。

     

    ウルスラはこけしを手のひらの中に収めながら、何やらすごく深刻な状態になってしまった。

    私は一生懸命、大切な人にもらったお守りとして持っていればいいと言ったけど

     

    ーでも、この人形にはダブルミーニングがあるってことよね

     

    というので、

    うーん。でも日本人はそんなことは今は気にしていないし、あくまでも昔の話で、そういう人もいるってぐらいのことで。。。。

     

    といっても全然だめぽ。

    困ったな。申し訳ない。変なこと言っちゃって。ごめんねー。

     

     

    私はひたすら謝っていたんだけど、

    彼女がそこで深く物思いにふけってしまったのには、どうやら別の理由があったようだった。

     

    しばらく彼女はクレールと早口のフランス語で何か話し続けていて、小さな声で早く話されるフランス語が聞き取れない私は、申し訳ない気持ちいっぱいで佇んでいたんだけど。

    それからおもむろに、私に向けてわかりやすく説明をはじめた。

     

     

    彼女が住んでいたポーランドでは、さまざまは歴史の繰り返しがあって

    先日彼女の家のすぐそばで、無縁仏(という表現かどうかわからないけど、とにかく身元不詳の人たちがまとめて埋葬されている場所)のお墓がみつかったのだそうだ。

    そこには誰のものかもうわからない骨が混じり合っていたので、DNA鑑定が行われることになった。

    そこで、そのうちのひとつが、血縁としては彼女の叔父にあたるものであることが判明して、その子は生まれてすぐに亡くなっていることがわかった。でも、そのことについて、彼女の身内は誰一人知らされていなかったし、生まれてすぐに死んだ子供がいるということが、その時はじめてわかったのだそうだ。

     

    彼女の身内は、その生まれてすぐ亡くなった子供のためのお葬式を、つい先日済ませたばかりだ、と。

     

     

    ーこのこけしは、私たちがその死んだ子供のことを知る前に、私の手元に来たの。

     それからずっと、私はこの人形と一緒に旅を続けてきた。この子はずっと私と一緒にいたんだよ。

     この間、私たちはお葬式をして、誰にも知られずに死んでしまった小さな子供を見送った。

     

     今日ここに、日本からいづみが来て、その話を聞いて

     なんだかすべてがつながっているんだと思った。

     

     この人形は、きっと私たちのその小さな子どもの代わりに、私の手元に来てその存在を教えてくれて

     旅の間私を守ってくれた。でも、お葬式を済ませて私たちがその子を見送ることができたから

     これはもう、私が手放していいということなんだと思う。

     

    え? え? そうかな。そうなのかな。

     

    ーいづみ、あなたの国では、死んだ人をどうやってとむらうの?

     

    えっと、焼いて埋める。

     

    ー埋めるのね?

     

    あー、うん、埋める(もう説明がうまくできない)

     

    その日、私は朝食を食べたら家の裏にあるぶどう畑の丘に登って、制作の足しになるような写真とか石ころとかを集めて歩く予定だった。ウルスラは家で仕事をしているから、いつでも寄っていいよと言ってくれていたんだけど

     

    ー私、今日の予定を変えることにした。

     これからいづみと一緒に、ぶどう畑の丘に登る。そして、この人形を埋めておとむらいをする。

     ちょっと待ってて、すぐ着替えてくるから!

     

     

     

    あー、えっと。うーんと。

    ごめんごめん、変なこと言っちゃってごめん。

    持っていても大丈夫なんだよ、不吉なものじゃぜんぜんないんだよ。

     

     

    ー違うのよ、今、私はいづみに心から感謝してるの。

     その話を教えてもらって。

     私にとって、今の話はものすごく大切なことで、とても心を打たれたし、こうすることが私にとても重要なの。

     

     

     

     

    ということで、私たちは丘に登り

    森の中の古い古い2つの木に挟まれた場所に穴を掘って

    日本の古い、小さなこけしを埋めた。

     

    ー日本では、お墓をお参りするときに何を飾るの?

     

    というので、花を飾って、お墓には水をかけて清めたりする、と話したので

    彼女はこけしにたくさんの花をもたせて、ペットボトルに入れた水を最後に墓石に見立てた石の上にかけて、お祈りをした。

     

    ポーランドのやり方と

    日本のやり方で。

     

     

    彼女は祈りの言葉を唱えたけど

    日本では手を合わせて、声は出さずに心の中で思いを伝えるんだ、と話したら

    じっと手を合わせて目をつむっていた。

     

     

     

    なんだろう。

    私、悪いことをしたのか

    いいことをしたのか

    よくわからなくなってしまったけれど

     

    これはこれで、

    なんだか不思議な体験だったんじゃないかなあと思う。

     

     

     

     

    それから彼女はぶどう畑の真ん中で、丘の上から街を見下ろしながら

    しばらく座禅を組んで瞑想をしてから帰るといって、その場に残った。

     

    戻って来た彼女と、クレールと、クレールの男友達が加わって昼食をすることになり

    話は当然、そのことになり

     

    どうやら彼女は、その帰り道で誰からのものともわからない携帯のメッセージ入り続けて

    すごく怖い思いをしたらしい。怪奇現象というか、霊障というか。わかんないけど、そんなものじゃないかと思っているようで

     

     

    その彼女に対して、加わった男友達が一生懸命アドバイスをしているのも、また不思議な体験だった。

     

    おかしな状態になった時には、大きな声で「ストップ!」と叫ぶのも効果がある、とか。

    仏教では声明を唱えるとか

    そして突然 南妙法蓮華経 を唱えだすとか

     

    とにかくもう、いろいろ面白い。

    というか、こちらの割と知的な人たちは、たぶん、私たちよりずっとよく

    仏教とか禅について知っているし

     

    レイキとかホメオパシーとか

    日本では、勘弁して、胡散臭いと思うような内容のことも(ごめんなさい)

    とても真剣に取り組んでやっている。

    ほんと、面白い。

     

     

    で、やっぱりフランスでも、ちょっとおかしなことがあったら

    塩を撒くんだそうです。

     

    日本だけかと思ってたけど。

     

    肩越しに塩を撒く。

    おばあちゃんちでもよくやってた、って言ってたよ。

     

     

     

     

     

     

    最終的に、ウルスラはミントの葉を両手に握って

    木の下で瞑想していました。

     

    いづみは大丈夫? って言われたけど

    私は何事もなく、大丈夫です。

     

    という、こけしから始まるお話でした。

     

    category:アートと暮らし en France | by:武蔵野婦人comments(0) | - | -
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