パリのテロとトリコロールの掲揚についていろいろ思うところを書いてみようと思う

2015.11.17 Tuesday 10:19
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    早朝にケーブルテレビのTV5mondeをつけて、ぼんやりニュースを聞きながら、最初はわけがわかりませんでした。

    そのうち、これはとんでもないことが起きたと目をこすり
    そのまま、テレビの前から動けなくなった。
    ダイニングテーブルの前で、ぽかんと口をあけた間抜けな顔で、たぶん1時間は棒のように突っ立っていたと思う。

    そしてその日は、まったく使い物になりませんでした。



    とはいえ、私は日本人で日本に住んでおり、ただパリが、フランスが好きなんだということだけでうろたえるのも何なんだよ。
    と思いながら
    それでも、知っている場所、知っている土地の名前、ともだちの顔が錯綜して、もうどうにもこうにも。
    つい2ヶ月前まで、どこにいこうかな、ここには何があるのかなー? と眺め倒していたパリの地図が、こんな悲しい目的で使われているなんて。あり得ん。

    ほんで、多少落ち着いただろうというところで友人にメールをしたら
    戻ってきた言葉に、また腰が抜けました。

    「私も、私も友達も家族も大丈夫です。
    でも、教え子の1人が殺されました。」





    フランスのテレビで、今回の自爆テロ犯が「kamikaze」(発音としてはカミカーズ)と報道されていることにも衝撃を受けた。

    いったいどういうこっちゃ? と調べてみたら、最初に使われたのは911の時らしい。
    アメリカのニュースが
    「これは新たに発明されたものではなく、半世紀も前に日本人が考え出していたことだ」
    と報道して連呼したのだそうだ。

    大好きなフランス語で、日本語がたくさんの人を殺したテロ犯を指す言葉で使われていることの悲しさ。



    カミカーズ、カミカーズ
    という悲しい響きを聞きながら
    ツィッターでみつけた Pray for Parisというエッフェル塔のアイコンを
    Facebookにあげた。



    >ほんで、その日の夜にまたFacebookを開けたら、そこはトリコロール天国になっていた。

    昨年のシャルリー・エブドの時も
    Je suis Charllie のアイコンがツィッターやFacebookを圧巻したことを思い出せば
    まあ、そういうこともあるだろうと思ったのだけれど
    でも私の気持ちはちょっと違うところにあったので、こう書いた。

    「私はフランス好きだけど、今回の出来事で日本人である私がフランス国旗を掲げようとは思いません。ただ、パリで巻き込まれた人々に思いを馳せてます。
    私の友達は死にませんでしたが、友達の一人の教え子が死にました。
    犠牲者になった彼女とシリアを空爆しているフランスの政策は関係ない。
    pray for Parisとは思いますが、トリコロールを掲げることは意味が違うと思っています。 今回のことが、911と同じ方向性にならないことを心から願っています。
    そして遠く離れた島国にいる私たちが、当事者に自らなることを選択するための口実のひとつに、今回のことが使われないことも願っています。
    家族や友人、教え子がテロで殺されるなんていう経験を国民の誰1人にもさせないと、日本の首長は肝に銘じて欲しいです。」


    私の考え方は上記。



    ほいでも、その後、なんだかあっちこっちでいろんなことになっていき、多くのブログが書かれ
    賛成派と反対派でなんだか心情的な対立が生まれたり
    まあ、いろいろ書くと読んだ人が「それ、私のこと?」って誤解してまた心情的な葛藤につながるので書かないけど
    どちらの意見をとっても、まあ、面倒だなあという状況になった。

    ま、Facebookなんていう小さな世界のことだから、面倒だなと思うなら離れておけばいいんだけど。


    それでも、自分の中にはとても もやもやする気持ちがあって
    それはちょっとブログに残しておきたいと思ったんだ。
    なので、ちょっと勇気を出して書いている。

    私は政治的なこと、対立項として気持ちをざわつかせるようなことはなるべくネットに書かないようにしてきているので(それはあくまでも、自分がざわつかないためなんだけど)、今回はちょっと勇気がいった。
    でも、やっぱりフランス好き、パリ好きをいっぱい表明してきた自分なので、頑張ってまとめてみる。


    私がフランスを好きになったのは
    個人の意見を自由に言えるってことだった。

    「私ね、ディズニーランド嫌いよ。
    スタバのCoffeeなんて、Coffeeじゃないわよね。」



    …って、日本で言うのはちょっと勇気がいる。
    そこにディズニー大好き、スタバ大好きな人がいたら
    その人の気分を害すると思うからだ。
    で、実際に害する人もいる。
    なぜ害するのかというと、「ディズニーが好きな自分が否定されている」と思うからだ。

    そうじゃないよ、私は「ディズニーランドという装置が嫌い」なだけで
    それが好きなあなたを非難なんてまったくしていない。


    フランスだと、

    「あらそう? 私は好きよ」

    で終わる。
    逆に、私が

    「いやあ、パリに来たらポンピドゥには必ず行くの。あそこ大好き!」

    って言って
    「そう? 私は大っ嫌い。あれは最悪。あんなもん作った人の気が知れない」
    と戻って来ることもある。
    そんでそこから、お互いなぜ好きか、なぜ嫌いかなんてことを延々と話したりするのが面白い。

    嫌いであることには理由があり
    好きである事にも理由がある。
    なんとなーく好きとか、なんとなーく嫌い というあたりの考え方は
    会話が成り立たないので面白くない。
    フランス語が話せるようになりたい! って強く思うのは、こういうおもろいことがしたくて仕方ないから。


    さて、そこで今回のトリコロール問題に戻る。


    もやっとしてしまったのはたぶん

    「トリコロールにするのはいかがなものか」
    という主張の人が、トリコロールにした「人」を非難しているケースがあること

    そして、それにたいして
    「亡くなった人を悼む気持ちのどこが悪いのか」
    「他に方法がないから、とりあえず期間限定でよく考えてしたことだ。何が悪いのか」

    という、「自分が非難された」と受け取った人が多かったんじゃないかなあ、ってこと。


    こういう時は、
    「私は、こう思う。だから、私は、こうする」

    でいいんじゃないかと思う。
    違う意見の人をとやかく言う必要はなくって、あくまで自分の意見はこうだって言えればよくて。


    でもそのためには、なんでよくて、なんで違うのかってことを
    ちゃんと言える必要があるなあって思う。


    今回思ったのは
    「なぜ違うのか」を主張する人にはそれなりの、ずっと言いたくて仕方ない理由があったこと。
    つまり、フランスは被害国であると同時に加害国でもあり
    パリのテロより多い死者を生んでいる当事国であるというこだ。

    ただ、それを熱く伝えたいばかりに、パリでの犠牲者への追悼の気持ちを持った人を
    どこかで非難するような伝え方をした。あなたが間違っているんだ、というような。
    それはやっぱり、ちょっと違うんじゃないかと思う。
    だから、指摘された人たちは気分を害したし、

    「プロフィールをトリコロールにするのはいかがなものかというような指摘をするのは
    とても窮屈なことだ」とか
    「失われた命に思いを馳せているのは誰でも同じ。野暮なことはやめよう」

    という意見も出て来て、それで、今回のことはもう時間が経って終わりってことになるんだと思う。


    で、私ももう面倒だから
    Facebookトリコロールプロフィール写真問題からは、とっとと離れるのが得策と思ってる。
    いや、思ってた。


    うーん。
    でもどうなんだろう。


    どっちが正しいとかそういうことをいいたいんじゃぜんぜんなくって。
    それ、どっちも正しくて、どっちもまっとうで、ただ単純に
    「私はこういう意見だ」ということとその理由が言い合えればよいだけのことで

    非難されたと反応するのはとっても違うと思っているし
    同時に
    野暮だよ、きゅうくつだよ、そういうこと言うのやめようと
    ってのも
    すごく危ない感じのことだなあ、って私は思う。


    問われたときに、プロフィールにフランス国旗を掲げた理由がちゃんと言えること
    それ違うよ、って思った理由がちゃんと言えること
    「違う意見」について論破するのはありだけど、違う意見を持つ「人」は非難しないこと。
    それ、意見を持つことの一番大事な基礎だと思う。

    で、そういう前提で私が今回いちばんもやっとするのは
    「いいじゃないか、国旗は失われた命への追悼なのだから、とやかく言うのはよそうよ」
    というあたりのこと。

    個人的に絶対頭の片隅に置いておきたいなあと思うのは
    このフランス国旗アプリを用意したのがFacebookというアメリカの企業だったってことだ。
    ボタン一つで、哀悼できる装置として
    国旗を用意した。
    God bress America の国だ。

    最初にあげた、エッフェル塔でもよかったわけだよ。
    Pray  for Paris で何がいけなかったんだろう。

    とはいえ、世界の街もトリコロールに染まったわけで、
    日本の都庁も、スカイツリーも、東京タワーもフランス国旗だったわけだから
    国旗を掲げるというのはこういう場合の常なのかもしれないので
    考え過ぎなのかもしれないけど。


    でも大惨事が起きたとき
    「追悼」という感情の大きな動きが出て
    そこに簡単に押せる善意のスイッチがあった時

    タイムラインが一気にトリコロールに染まり

    それ、どうなん? と言い出すことが、「きゅうくつな世の中になった」とか
    「もうよそうよ、こんなこと」「野暮だよ」と

    最終的にはそういう落としどころで終わってしまうということに

    たぶん、私は一番もやもやするんだなと思う。



    そして今は、フランスとアメリカは連合してせっせとシリアを空爆している。 フランスでは支持が下がっていたオランドが、徹底抗戦を見せることで支持を得ていくとしたら それはアメリカが辿ってきた道と同じってことになっちゃう。 えーん。





    だからこういうの作った。
    きっと誰でも思いはここにあるはずだと思うから。

    願うのは、罪のない人たちの命が奪われないこと。
    善意であるはずの私たちの思いが、権力に悪用されないこと。
    どの場所にいる人にも、愛と平和を。




    テロの翌日、被害のあったバタクランでジョンレノンのイマジンのピアノ演奏があった。
    世界のどの場所であっても、大切な命を奪うことに、私たちが加担してしまうような事態にならないこと。
    日本人として、強く強く、いま、そう思います。


    「何かのために殺したり、死んだりする必要なんてない。それが宗教のためでも。想像してごらん、みんなが平和に暮らしている姿を」

    http://www.huffingtonpost.jp/2015/11/14/man-plays-imagine-bataclan_n_8566134.html





     
    category:Dairy Tokyo | by:武蔵野婦人comments(2) | - | -
    Comment
    いづみさん、おひさしぶりです。ムギからフォローしているoliveです。

    私はあのトリコロールの「アプリ」が「写真への許可」を求めたところでもやっとして引き返しましたが、理由を突き詰めて考えていませんでした。

    自分の頭で、自分の言葉を使って考える訓練、怠らないようにしなければ。

    良い記事をアップしていただきありがとうございます。

    年末に向けどうぞご自愛くださいませ。
    • olive
    • 2015/11/17 1:56 PM
    oliveさん、コメントありがとうございました!
    「アプリ」が誰によって用意されているものなのかということは、考える必要があるなあとも思っていますが、でも使った人に対してどうこう思う気持ちはまったくないんです。ただ、「自分はこう思う」ということを言い合い、尊重しあえる空気の中で暮らしたい、と切に思っています。曖昧に「なんとなく」という行動が数で民意を持つことの怖さというのも、ちょっと感じたりもしてるこのごろなので。

    oliveさんも元気で頑張ってくださいね!
    • izoomi
    • 2015/11/17 2:37 PM








       

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