「お前の母親はいったい何をしてるんだ?」と言われたけど、それ、フランスではどうなの?

2015.09.19 Saturday 01:13
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    パリから戻って10日経ったけど、なんだかもうすっかり日常に戻ってしまった。
    2ヶ月近く東京を離れることは、フリーランスの私には以前はもう、怖くて怖くて、このまま仕事がなくなってしまうのではないか? その期間は仕事ができません、なんて一回でも言ったら、仕事は他の人に回ってしまい、以降、二度と戻ってはこないのではないか? なんてことを考えていたこともあったな。なんかなー、頑張ってたな、あの頃、私。
    会社員だった時にはまったくわからなかった感性だけど、一度でもフリーランスで仕事をしたことがある人なら、わかってもらえると思う。

    特に、私は子どもが10歳の時にシングルになったから、とにかくこの子をこの腕1本で育てなくてはならない、という変な使命感みたいなものもあって、なおさらだった。
    今思えば、こんな不安定な仕事で、まあ、よくも子どもと二人、なんとか食ってくれたもんだと思う。
    奇跡に近い。
    ほんと、ありがとうございます(なんかわからないけど、とにかくここまでやってこさせて下さった人々に)。

    そんな「頑張らねばあかん」気負いが年齢とともにだんだん薄れはじめてきて
    子どもが20歳をすぎて
    ああ
    もう私は
    自分のためだけに働けばいいんだと気がついて

    そして、身近な人が、まだ逝ってはいけない年齢で旅立ってしまったり
    ある日突然、実は重篤な病気かもしれないという宣告を受け(そしてそれは、2週間後に大ボラふきの誤診だったということが判明して、腰が抜けたけど、まあ、本当によかったよお@涙)…なんてことになったり
    気がつけば両親がもういつぼけても倒れてもおかしくない年齢で、明日突然ひとり娘シングルである私の日常が激変するとも限らないという現実が見えたとき

    やりたいと思ってたことは
    とっととやっておこう
    とすんなり思えるようになった。

    働き盛りの時代はよく働いて、遊ぶのはその後にしようとか、
    仕事を持続するための保険じみた努力は必要だよな、とか
    老後の蓄えしなくっちゃとか

    そういうことのために、今を先送りにしても
    今日と同じ明日が、必ずやってくるわけじゃないじゃん、と
    そんな当たり前のことに、やっとこ気づいて。

    それから、物事は時期と運と縁が重なったときには
    先送りにせず、とっととやっちまうべきだと思うようになった。



    *セーヌ河畔のボートハウス。パリの砂浜「人生は美しい」って書いてある。

    子どもが産まれて会社復帰したあとに、独立しようと決めた時とか
    離婚しようと決めた時とか
    そして、子どもに便乗してアメリカの大学に入ろうと決めた時とか

    どの時も、なんだか壮大な決心をしたような記憶があるんだけど
    やってみたら
    別にそれは普通のこととなって
    ただその先に続くことを粛々とやっていくだけのことで
    何も特別なことではなかった。
    でも、後になってからそう思えることで
    どれも、ああ、あの時にそんな心のハードルみたいなものを飛び越えておいてよかったなあ、と
    今になれば、しみじみ思ったりもする。


    今回のパリも、ささやかだけど、そんな「とっととやっとこ」案件の一つだったわけだけど
    ほんとに、とっととやっといてよかったー。
    そして今、本当に毎日、パリが恋しい。
    世の中に、そんなに好きな場所があって、ほんとによかったなあ。
    また行きたいなあ。
    行く前と行ってきた後と。
    自分の中で何が変わったんだろう。
    それ、興味あるなあ。おもしろいなあ。




    あれ、今日は何を書こうと思ってたんだっけ?
    すっかり脱線してるし。


    ああ、そうだ。
    タイトルの通りだ。



    とにかくなんとか食っていかねばならぬ! という私の原動力になっていたのは
    ひとり息子の存在なんだけど
    その子どもが産まれた時、私は会社員で
    その部署ではじめての育児休業を取って、育児時間短縮を取って
    応援してくれるかわいい後輩に支えられながら
    でも、時短で帰ろうとすると
    「子どもができたら早く帰れるんですね。いいなあ、私も子ども産もうかな」
    なぞと言われたり
    「あなたみたいのを給料泥棒って言うのよえ」
    なんて言われたりしながら

    まあ、いろいろ苦労はしたのさ。
    あの時代。
    それより前は、育児休業も取れなかったんだから、十分恵まれていたんだけど
    でも、子どもいるけど働くって状況に周囲が慣れていなかったから
    いろんな出来事は、あった。

    あれから20年近くたって、そんなのすっかり壊滅しているんだと思ってたら
    以外とそうじゃないらしい。いや、素敵に変わってきたこともいっぱいあるんだけど
    心ない言葉をかけられてしまうことは、未だあるって聞くと、とても悲しい気分になる。

    そういうの、今はマタハラっていうの?




    なぜこんなことを急に思い出して書いているかというと
    パリにいたとき、部屋を貸してくれていたNicoleと夕食を食べながらいろいろ日々話していた中で
    仕事と子育てをしていく上での男女の役割みたいな話が結構出て

    そん中で、日本はやっぱり男女の役割分離がまだあるよねえ、ってことはしばしば話題になった。

    で、私は自分のことだからもう20年近くも前のことだけど、こんな体験談をしたわけ。

    「育児時間短縮を取っていても、会議が夕方から始まったり、大事な仕事が夜あったりするから
     ベビーシッターを頼んで出席したら、上司が”子どもはどうしたんだ”と言う。
     シッターに預けましたと言ったら、驚いた顔をされて
     ”お前の母親は一体何をしているんだ!?” と言われた。
     
     一瞬何を言われているのかわからなくてキョトンとしてたら
     ”普通はお前の母親が面倒を見るものだろう”って。

     だから、”私の母も今、会社にいますから”って答えた。
     フランスだと、娘の子どもをその母親が面倒見るってのは普通なの?」

    彼女の答え
    「昔や、地方ではそういうこともあるけど、まあ、今は普通はないわね。
     子どもは夫婦で見るべきもので、必要ならシッターを頼めばいいんだから」

    そっかー。
    あ、それとね

    「日本では、しばしば仕事が終わったあとに、同僚や上司と送迎会や飲み会があって
     そこで親睦を深めたり、仕事の話なんかも出たりする。
     私は子どもを産んでから、当時の夫がまったく育児を手伝わなかったので、そういう会は一切出られなかった。
     でも、長く仕事を続けてきた私の母が、それも仕事の一部だから出なさい
     私が子どもは見るから、行ってきなさいと言ってくれたので、忘年会に出たんだよ。

     そしたらね。
     後輩の女の子が、
     ”どうしたんですか。帰らなくていいんですか。だんなさんの食事はどうするんですか?” って聞く。
     上司も
     ”こういう日はだんなの夕食はどうしているんだ”って言う。

     だから、”彼は大人ですから、自分の食べるものは自分でなんとかできます” って答えたの。」

    そう話したら、びっくりしたようにNicoleは言った。

    「食事をどうするのかとか、それはプライベートな話でしょう?
     それを聞くのはすごくおかしい。フランスではそんなこと、絶対に話題にしないけど」



    今も日本では、そんなこと言う人いるの?
    私、あまりもう、会社員の時みたいに、いろんな人と話をすることがないのでよくわからないや。
    それでもね
    その後
    いろいろ形を変えて、そういう「子どものいる母親は○○するのが普通」っていう
    目に見えない枠組みみたいなものに当てはめられているなあって思うことはよくあった。

    「プライベートなこと」

    っていう概念が、日本にいると、気づかないうちに
    なんかものすごく均一なんだなあって、思う。



    お互いいろんな問題はあるので
    日本とフランス、どっちがいいのかは別として

    私が今回の滞在で一番衝撃だったのは

    「世帯」

    の概念が、あまりに自由だったこと@フランス。



    大学の授業で、世帯ごとの課税とか、優遇措置とか、その手の話を聞いているときに
    「あ、世帯カップルは、別に男女である必要はなくて、男性同士、女性同士の組み合わせも普通だからね」
    と、しゃらんと言われる。

    「だって、ここはフランスだから」
    と、パチリとウィンクされたりして。

    そして、夫婦も婚姻関係を結んでいることが前提ではなく
    婚姻しているカップル
    契約だけをしているカップル
    契約もしていない同棲カップル

    があって、それぞれ保障とか違うんだけど、もう、男女も一緒にいる形も組み合わせがありすぎるから
    そのプライベートなところは、あれこれ詮索しても仕方ないってことになるんじゃろうなあと思う。


    男女、男同士、女同士の組み合わせの話でいえば
    大学が終わってから遊びに行ったモナコで、お友達が
    「こっちは結婚をする前に、この結婚に意義がある人は申し出ること、と教会にしばらくの間
     二人の名前が張り出されるんだけど、たまに見に行ったりすると、それ
     男女の組み合わせのほうが少ないときがあったりするよー」って。


    もうね、なんだかこのあたりの前提があまりに違いすぎて
    日本で「お前の母親は何をしているんだ」「だんなさんの夕食はどうするんですか」
    なんて言われたことの想い出なんて、吹っ飛んでしまった。



    とはいえ、フランスも1970年代までは、非常に色濃い男女の格差が存在していて
    特に昔から自由だったわけではない。
    このあたりも非常に面白いので、また時間があったら書いてみます。

    とめどなくなったけど、やっぱり異文化の中に入ってみるって
    とても面白くて、刺激的だなあと思う。




    まだまだ、知りたいことが、世界にたくさん。
    もうちょっと、仕事もちゃんと頑張りながら
    いろいろ歩き回ってみたいなと思ってます。



     
    category:Paris ひとり暮らし | by:武蔵野婦人comments(0) | - | -
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