便利で親切な東京と、不便で不親切なパリの間で、どちらが便利で親切なのかを考えた

2015.08.20 Thursday 06:00
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    8月19日。
    バカンス時期のパリは観光客は多いですが、中心から離れれば人も少なくて地下鉄も空いていて、いろいろ過ごしやすいです。

    いや、それにしても。

    近所のレストランは8月1日からお休みで、再開は9月1日なんですが、その間ずっとバカンスに出かけちゃうのかなーって思ってたら、1週間ぐらいは店内改装していました。なるほど、それはなかなかよい塩梅のバカンスの使い方なのかも。

    でも、まあ、東京で飲食店が1ヶ月休むなんてことは、あり得ないわけで。

    休んだら自転車操業なんだから火の車になる! ってのが東京の飲食業なんだと思うけど、フランスだとそういう切迫感がないのがとても不思議だなあって思う。なぜこの国でこんな柔らかな塩梅で仕事して生きていけるのかというあたりは、こないだからいろんな人に聞いて歩いているんだけど、書き出すと長くなるのでまた今度。


    しゃて、そしてパリではそういう時期だからというのも含めて、とにかく工事が多いです。



    あかんわー。
    主要路線が使えん。
    それ、赤いビニールテープでばってんって。
    どうしたらいいのか案内ないのん?




    こっちではさらにわけわかめなことになっている。
    7月25日から8月23日までの1ヶ月間、PERの上記の5路線が工事になっとるので、
    左はメトロ1号線でシャトレーまで行って、次にPERのA号線に乗れ。
    右はメトロ1号線でデファンスまで行って、次にPERのA号線に乗れ。

    と書いてある。
    がしかし
    そこに並んだ一番大きな字の看板には

    『メトロ一号線を使うのは控えてくれ、ラッシュ時には」

    とでっかいアラートマーク付きで書いてある。

    なんなん、それ。
    工事して使えなくして迂回路書いておいて、その迂回路は使うなとか。
    意味わからん。

    (まあ、よく見ると各看板の下には小さい字で

    1号線が混雑してる場合は2号線でナシオンに行け
    平日の7時から10時、16時から21時までの間の混雑があった場合は
    シャルルドゴールエトワールからデファンス行きのナヴェットが出てるから出口4番から出てちょ

    というような注釈がついているので、そうか、1号線は迂回客で混雑が予想されるので
    その場合は左の看板の下に書いてある別の方法で迂回すればいいのか、というあたりが予想で理解できる)

    (*いや、さらに付け加えるとすると、シャルルドゴールエトワールから出ているというデファンス行きのナヴェットだが、実は凱旋門周辺もいろいろ工事中であって、出口4番にあるはずのバス停は移動している。そしてすごくわかりにくい場所に「バス停はあっちに移動しとる」という看板がある。連携ゼロ)


    私はパリの地下鉄はいろんな意味でとてもわかりやすく便利にできていると思うんだけど、この手の

    いつも工事だらけ

    というあたりは、ほんまどういうこっちゃという気になる。
    それ、どういうことかというと、こういうことが起こるってことで。



    駅が7月15日から8月30日まで閉まります、と。

    つまり、この駅を通勤通学路に使っている人は、1ヶ月半の間隣の駅まで歩けというわけですわー。
    東京みたいに夜の間に工事しまーす、なんてことは起こらず。
    1ヶ月半延々と駅閉めて工事してるんだが、まあ、みな文句も言わず(いや、言ってるんだろうが)、不便だなあと思いながらも別の方法でなんとかしている。

    これ、たとえば東京で

    京橋駅は1ヶ月半使えません

    とただインフォされて、あとは乗客が「あ、そうかー、日本橋から歩けばいんだー」なんてことを考えて行動するなんてこたあ、まあ、起こりえないし、あったら大ブーイングで「業務に支障」とかそういうことになるんだろうなあ、などと思う。


    お国柄。
    おもしろい。


    さらにパリのおかしなところは、とにかくいろんなものが常に壊れているということ。


    駅のエスカレーターは、たいてい入れ替わり立ち替わり止まっている。
    こないだなんて、乗ってる時に止まった。

    へー、って感じでみな歩き出した。

    いやあ、東京で乗ってる時にエレベーター泊まったら、子どもの手を引いてるおかあちゃんなんて、青筋立てて起こると思うよ。
    「子どもがケガしたらどうするんですか。点検なってないー!」って>笑


    あと、エレベーターほとんど「故障中」。
    車いすの人、無理。
    ここ、ぜんぜんバリアフリーじゃないところ。


    さらにすごいのは、駅の改札もしょっちゅう壊れているってこと。
    今日乗ったメトロの駅は、3台ある改札全部に「故障中」って書いてあった。
    で、切符やカードを通さないと開かないロック式のバーは解放されていて、じゃんじゃんみんな勝手に通っていった。

    いいのよ、それで。



    あ、こないだわけわかんねーと思ったのは
    リモージュ地方に列車で旅したとき、翌日出かける際の切符を駅で買おうと思ったら

    「券売機故障中。切符は売れません」と貼り紙があったこと。

    そして、くれたのがこれ。



    諸々の困難な理由にて今切符を出せないので、このチケットで電車に乗ることを許可します、と。
    ほんで電車の中で車掌にお金払ってねってことなんだけど、じわじわ来るのは、こういう文言が入った乗車許可チケットというものが、きちんと印刷されて束になって用意されているということだ。

    日常。


    ちなみに翌日はこれを持って電車に乗ったけど、車掌さんは来なかった。
    まあ、あとはご想像におまかせするとして、ま、そんなことが頻繁にある。

    加えていえば、その翌日に私はパリに帰ったんだけど、その日も駅には「切符売れない」貼り紙がまだしてあった。
    直さない。
    潔い。


    そして暮らしのさまざまな場面では
    本当に気が遠くなるようの不正確さ、不便さ、面倒臭さが山積している。



    こういう場所で暮らすのはさぞかし不便だろう、東京では信じられないことじゃよねえって思うんだけど、でも、なんだか、そういう不便さが日常になると、人って不便に適応するんだと思うのね。

    ぶーたれるけど、駅員に食ってかかったり、責任取れとか、どうなってるんだと詰め寄る人はいない。っていうか、駅員さんも「まったくもう困ったもんだわよ」と肩をすくめて、ぜんぜん謝ったりしない。
    ほいで、まあ、乗客も仕方ないわなあという感じで別の方法を考え出す。

    フランスにはなんだかそんな「サービスをする側もされる側も対等」って空気と、妙な「ケセラセラ感」みたいなものが存在していて、それは何か、東京での日常とはものすごく違うメンタリティだなあと思う。



    そんな中、止まったエスカレーターの前では、じゃんじゃん男子がベビーカーをかついでどっかのママを手伝っていたり
    車内では、でっかいバックパック背負ったにいちゃんが電車を降りようとしたところで
    網棚から荷物おろそうとしているおばあちゃんに気づいて、せっかく背負ったバックパックをよいしょと下ろしてから戻ってきて、おばあちゃんを手伝ったりしている。

    混雑する地下鉄の車内には、折りたたみ式の椅子が乗り降り口のそばにはあるんだけど、みんなが何かの合図をテレパシーしているかのように、ちょっと人が増えるとバサッと立って椅子を畳み、ああ、また空いたなあと思うと、おもむろに座り出したりする。
    お年寄りが乗ってきたら、機械仕掛けのように子どもはささっと立ってどっか別の場所に行くし、ベビーカーは普通に乗ってくるけれど、混み具合でさくっと畳む人もいれば、狭いパリの地下鉄仕様でコンパクトなものを使っている人も多い。



    私、「日本は」って言ってるんじゃなくって、「東京は」って言ってるの。東京以外の場所では、みんな親切だなあ、って思うことも多いから。
    でも東京でラッシュ時の電車に乗ってて、ほんとに心すさむなあって思うから、こっちで見聞きするそういうちょっとしたことがラク。あ、なんかぶつかって舌打ちされるなんてこともないなー。Pardonって言い合うだけ。

    これ、人との距離感の文化的違いだなあって思う一方

    便利さに慣れすぎてしまった日本では、「サービスを享受できて当たり前」「遅れも故障もなくて当たり前」が前提で、それが崩れたとたんに誰かを責めずにいられないというクセがついてしまっているのかもなあ、なんて思う。
    こないだなんて、「レストランで”ごちそうさま”を言いますか」というテーマに、「金を払っている客である以上、店にごちそうさまと言う必要があるか」という人が結構いて、椅子から転げ落ちそうに驚いた。
    こっちはスーパーのレジでも洋服屋さんでも、必ず挨拶しあって、今日はどうだったとか話して、もちろんお店で食べたらありがとーって言って帰る。それ、当たり前のコミュニケーション。

    便利で豊富なサービスは、サービス享受は当たり前、それは支払った代金の対価という考え方を生むのかなあ。

    便利で親切な日本って、すごく素敵だなあって思う一方
    (いやあ、フランス人が日本に来たら本当に、感動すると思うもの。いろいろ正確で便利で)

    不便でいろんなことが不親切な場所のほうが、あまり嫌な思いをしないってどういうこっちゃ? なんだろうってすごく不思議に思う。

    いろいろ続けたいけどもう眠いので寝る。

    おやすみなさい。
    category:Paris ひとり暮らし | by:武蔵野婦人comments(0) | - | -
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