留学1−2 はじめての授業

2009.08.31 Monday 22:29
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    7月19日(日)−2



    9時からフランス語の個人授業が始まる。レッスンはこのサロンで。朝日が差し込んで気持ちがいい。とはいえ、一日に3時間も勉強したなんて記憶は、はるか彼方だ。だいじょうぶなのか、自分。

    「まずは1週間の予定を決めよう」とクロディーン。
    この留学プログラムは、週に5日午前3時間の授業がある。午後はこのうち3日間、クロディーンと出かける。残りの2日の午後は自由時間だ。さらに、水曜日は一日フリーになる。
    授業は1週間で合計15時間だが、クロディーンと一緒に食事を取ったり、午後にさまざまな場所に出かけて地元の人と交流することで、フランスの暮らしを体験しながら実際にフランス語を使う。その中で、語学の力を伸ばすのだという。さらに水曜日はフリーだから、一人で電車に乗って近隣の街に出かけることもできる。留学するというよりも、さまざまなイベントがつまった旅のようで、ちょっとわくわくする。

    午後に彼女とでかける場所は、自由に選ぶことができる。だから、それをまずは決めてしまおうというわけだ。事前に私の仕事や好きなものは伝えてある。それに合わせて彼女は、フランスの青空市でもある「Vide Grenier」に行くとか、隣の街に住むアーティストの家で食事をするのはどうだろうとか、BIO(有機栽培)のマルシェに出かけて食材を買い、料理を作ろうといった提案をしてくれる。
    おお、どれも魅力的―。

    とはいえモンバールに到着してまだ一晩寝ただけ。なんだか素敵な提案だということはわかるのだが、周囲の様子もわからないのでまったく実感はない。とりあえず、「そりゃ行ってみたい!」「ぜひ食べたい」「なんて楽しそう」なんてことを叫びまくって予定を決める。


    いや、しかし。

    ここまでの道のりを私はフランス語だけでやっているのだ。
    えらいじゃないか。

    でも、忘れてはいけないのは、クロディーンは経験豊かな語学の先生だということだ。彼女のフランス語はゆっくりと確実に、丁寧に発音されている。しかも、使われている単語はとても初歩的なものばかりだ。ここでフランス語が少々できるような錯覚に陥ってはいけない。自分がどれだけへなちょこか、どれだけしゃべれず何の役にも立たないのかとうことを、これからいやというほど思い知ることになるのだから。


    初めてのレッスンはこうして始まり、私はまずフランス語で自己紹介をするように促された。仕事は何をしているのか。今の仕事の前は何をしていた? 家族は? 好きなものは? 
    すぐに言葉につまる。えっと、何と言うのだっけ。単語が思い出せないよ。

    うーーーーーん。

    押し黙る私に、彼女はこう言って先を促す。
    「話すのを止めないで。大事なのは正しく作文することじゃない、コミュニケーションなの。難しく考えないでいい、知ってる言葉を単語で並べてもいいから、伝えようとしてみて。フランス人はとても早口で、会話が止まってしまうことを嫌がるの。あなたがそうして言葉に詰まっている間に、ほかの人はどんどん別の話題に進んでしまうわよ。フランス人とコミュニケーションをしたいなら、間違っていてもいいからとにかく話し続けること、それも早く!」

    前夜にこの場所に到着してからというもの、私はクロディーンの話すフランス語を聞き漏らすまいと、なけなしの集中力を使って頭をフル回転させてきた。もう脳みそはへとへとだ。そこに容赦なく
    「Vite! VIte! N’arrete pas!」(早く、早く。止まらないで)の言葉が追いかけてくる。

    ひぃー!

    一日目のレッスンは、そうして脳みその悲鳴が鳴り響く中でやっと終了。おう、へとへとだぜい。脳細胞が壊死してるのではないか、と思うほど頭の芯がぼーっとしてくる。こんな頭の使い方をしたのは何年ぶりだ。よれよれだ。
    前日の長旅の疲れも首をもたげるが、そうも言っていられない。昼食をとったらVide Grenierに出発だ。ほれいけ、ほれ出発の準備だよ、自分。



    クロディーンは「20分で戻る」と言い残して階上にある彼女の家に消えたのち、うまそうなサラダとハムの皿をかかえて戻ってきた。

    滞在中を通して痛感したのは、彼女の用意する食事の絶妙なバランスのよさだ。長旅のあと、一日中移動が多くなるこんな日には、このぐらいの軽さの昼食がとてもうれしい。脳みそを使い果たし、体力のストックもあまりない状態で重くてボリュームがある食事を取ると、体力も気力も奪われてあとが続かなくなる。彼女はとても腕のよい料理人だったけれど、このあたりの相手を見据えたバランスの良い心配りが、とても素敵な人だったと思う。旅を終えて帰国してからも、とにかく彼女の料理を思い出す。うまかったなあ。



    さて、こうしたサラダとハムの簡単な食事であっても、ここが美食の国フランスであることを教えてくれるのは、食後のデザートたちだ。冷蔵庫から出てきたのはトレーに乗った7種類のチーズ。シェーブルにロックフォールにブリー、その他はじめて見るチーズの山と格闘し、フルーツに手をつけた時点でもうお腹は心地よくいっぱい。
    さあ、20分後に出発しましょう。
    へい!
    なんかよくわからないけど、とにかく出かけるのだ。
    出発だー。
    category:フランス留学 | by:武蔵野婦人comments(0) | - | -
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