留学2−1  止まらず、早く!  早く!

2009.08.31 Monday 22:09
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    7月20日(月)ー1

    死んだように寝て、きっちり朝の7時に目が覚めた。旅行中に時差ぼけになることはほとんどない自分のからだに、こんなときは感謝する。

    さて、2晩をこの家で過ごしたけれど、やはりまだ落ち着かない。今日から朝食は一人だ。パンはどこに入っているんだっけ。このジュースは開けていいのかな。えっと、コーヒーを入れるのはどうすればいいのだっけ。
    ひとつひとつの行動を起こすのに、いちいち躊躇する。気を使わずに自由にやれるように、クロディーンがたくさん気を配って物を配置してくれているのがわかる。でも、誰かの家のものを使わせてもらっているという感覚がまだ抜けない。下手に主婦暦が長いから、「ちゃんとしておかないと、だらしないと思われるかも」とか「どこまで片付けておくべきなのか」なんてことが頭をめぐる。
    食べないとパンが固くなる。昨日の残りの肉を、食べ切ってしまったほうがよくないか。朝からそんなことを考えている自分が、なんだか情けなくもあり愛おしい。
    因果だなあ、主婦業ってのも。



    とりあえず、冷蔵庫の上に山積みになっていたプラムが痛みかけていたので皮を剥き、冷蔵庫からヨーグルトを出して、ジャムを載せてみる。パンを食べるだけの元気はない。胃が弱っているようなので、コーヒーを入れるのもやめにする。食器棚の中にハーブティーが何種類もたくさん詰まった缶をみつけてうれしくなる。
    胃が疲れたときには、モロッコ風のミントティーがよく効く。


    レッスンは9時からだ。

    前日、私のフランス語には以下の問題点があることを彼女に指摘されていた。

    1、 発音はまあまあいい。でも現在形と過去形、未来系の時制がぜんぶごっちゃになっている。
    2、 Le la les といった前置詞が無茶苦茶。

    1週間ではたくさんのことはできないけれど、とりあえずこのあたりから手をつけよう。そのための練習問題をいくつか用意するわね、と言われていたのだった。

    フランス語には、信じられないほど多くの動詞活用がある。過去形だけで行っても、単純過去、複合過去、半過去、大過去の4種類があり、このほかに条件法だの接続法だの、どう区別してよいかわからない活用法を覚えなくてはならない。
    その上、単語には男性と女性の性別が必ずあって、その単数形と複数形で前置詞もすべて変わる。このあたりが私はごちゃごちゃなのだ。
    ってか、ごちゃごちゃで仕方ないでしょ。すっごい複雑なんだからっ。

    ということで「今日はちょっとしたエクササイズを持ってきた」とクロディーン。
    さまざまなシーンがイラストで表現された紙を前に、この風景をフランス語で説明してみて、といわれる。単語の性別をはっきりさせることと、時系列で時制を使い分けることが目的らしい。

    自分のことを説明するのは、ある程度の語彙の用意がある。でも、はじめて見た絵を説明しろといわれると、何一つ言葉が出てこない。
    はしご? ペンキ? ベビーカー? フランス語でなんていうの???? つくづく、語彙の少なさを感じる。もっと若いとき、脳みそが柔らかいときに、たくさん単語を覚えておくのだった。
    3時間というのは、短いようでいてたいそう長い。そんな四苦八苦の授業を3時間。後半は「最近した旅で印象深かったこと」を口頭で話してごらん、と言われる。

    前の日にレッスンを始める前に、私は今回の滞在で何を習得したいのかということを聞かれていた。
    「ヒアリング能力を伸ばしたい、フランス語検定に受かりたい、新聞などが読めるようになりたい、会話をしたい。いろいろな目的があって、それぞれに勉強法はまったく違うの。あなたは何がしたい?」

    私はとにかく、しゃべれるようになりたい。会話ができればいい。そう思ってここに来た。学生時代にフランス文学を専攻したことがあるから、辞書を片手にやさしい本なら読むことはできる。ドリルの練習問題を解くこともできる。
    でも、悲しいかなまったくしゃべれない。
    実際に自分の旅の話をしようとしても、頭の中に単語もフレーズも何も思い浮かばないのだ。言葉というのは、聞くこと、読むこと、話すことによってまったく違う能力を使っているのだということを思い知る。
    できあがった構文を読解することはできても、ゼロから文章を作る能力が今の私にはないのだ。

    「日本語で考えてから、それをフランス語に変えるという方法でしゃべらないこと。日本語はあなたの母国語だから、そこで考えると物事は複雑になっていくでしょう。思い浮かぶ知っているフランス語で伝えられることを、片端から口にしなさい。コミュニケーションはまずはそこから」

    止まらず、早く、早く。
    しゃべるのよ、しゃべり続けなさいっ。
    “はい〜、ひぃ〜”

    脳みそは再びフル回転して、あっという間に芯がしびれたようになっていく。そんな授業を3時間。こんなに頭を使ったのは、繰り返すけれど本当に何年ぶりなんだろう。
    すごいな、自分。やりゃできるじゃん。
    いや、成果はぜんぜん出ているようには思えないんだけど、とにかくやってること自体がえらい。なんだかちょっとだけ、コツがつかめてきたような気がする。自分を褒めてあげよう。
    category:フランス留学 | by:武蔵野婦人comments(0) | - | -
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