留学2−2  モンバールを歩く

2009.08.31 Monday 21:57
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    7月20日(月)−2

    レッスン2日目の午後は自由時間だ。午後はゆっくり部屋で休んでもよし、街を散策するのもよし。夕食までゆっくり過ごしてね。できればフランス語の復習の時間も取って欲しいけれど、とりあえず今日はゆっくり休むといいわよ。
    そう言ってクロディーンが用意してくれたのは、ズッキーニのフラン。



    ズッキーニを炒めて、豆乳と生クリームをあわせたソースをかけてチーズを散らしてオーブンで焼く。軽くてうまい。クロディーンの料理はBIO(ビオ 有機栽培のこと)をとても上手に取り入れて、健康的に仕上げている。これは豆乳を使っているところがミソ。すごいなあ、うまいなあ。豆乳でこんなにおいしいフランが作れるのかー。こんなランチが、レッスンの疲れを吹き飛ばしてくれる。

    うまいうまい、とにこにこ食べて、あとは夕食まで自由時間。
    ここまで必死に突っ走ってきた。そろそろガス欠になる頃だと思っていたから、この自由時間に救われる気になる。今朝はきっちり目が覚めたけれど、からだの中に澱のようにたまった疲れは抜けない。肩がばりばりに凝って、目もしょぼしょぼだ。とにかくはじめての場所で緊張しながら、必死に追いついてきたのだ。
    バスルームに体重計があったので計ってみたら3キロやせていた。東京であれだけダイエットしたいと思っていたのに、いざこんな形でやせていくと、どこかわびしい気持ちになる。午後はゆっくり過ごそう。

    ちょっとだけ復習をしてから、ベッドに寝そべってみる。
    いやいや、ぜんぜんだめじゃん。
    緊張が抜けなくて疲れているのだ。神経だけは妙にとがっていて、ちっとも睡魔は襲ってこない。風呂に入ってワインを飲むという選択肢もあったけれど、そんなことをしたら二度と目が覚めないような気もする。
    おりしも、昨日までの冬のような寒さがゆるんで、今日は快晴だ。生来の貧乏性が首をもたげる。もったいない。こんな晴れた日に寝室にうずくまっているなんてー。

    一眼レフと望遠レンズをバッグに詰めて、サロンにあったモンバールの地図を片手に、街の探検に出ることにする。散歩も街歩きも大好きだ。好きなように街を歩いて買い物でもするほうが、疲れが取れるかもしれない。




    モンバールはTGVでパリから一時間の小さな駅だ。取り立てて何があるというわけでもないのだけれど、世界遺産でもあるフォントネーの修道院に行くための入り口となっているため、駅前には小さくてこざっぱりしたホテルがあり、ささやかだけれど何でも揃う商店街もある。



     

    クロディーンの家を出てすぐのところには、街にひとつしかないという信号がある交差点がある。ここは信号がひとつだけの街なのだ。
    小さなアンティークショップには、気軽に手に入るかわいらしい食器や雑貨がひしめいていて、その並びには朝早くから開くおいしいパン屋や、あれこれと惣菜の揃う肉屋、なかなか品揃えのいい本屋にKIOSKのような雑貨屋、オープンエアのカフェなどが一通り揃っている。





    モンバールに到着した日、クロディーンの車にゆられて通り過ぎた街は「何もない田舎町」という印象がぬぐえなかったけれど、実際に自分の足で歩いてみるとなんともいえず居心地のよいチャーミングな街だ。
    そしてこの街を特徴づけている最大の存在が、街を横切る大きな二つの運河。

     

    水と緑と、石畳と青空。街にはひとつしか信号がなく、運河をゆっくり船が横切っていく。のんびり、のんびり。細い坂道の多いこの街を歩いていて目に入るのは、花々で美しく彩られた民家の軒先だ。
    よかった、散歩に出てみて。ばりばりに凝っていた肩が、こんな風景の中でほどけていくのがわかる。吹き抜ける風も、陽射しも、なんともいえずに心地いい。これがフランスの夏だ。長い長い冬の先にある、みんなが待ち焦がれる夏の午後。渡航前から、今は一番よい季節だとたくさんの人に言われてきた。本当だ。この季節に旅をしてない人は、ぜひとも夏にフランスを旅するべきだと心から思う。それも、こんな田舎の街を。




     

    散歩の終わり、駅前にあったCASINOというスーパーマーケットを冷やかすことにした。パリで買い込むつもりだったコンソメのブイヨンや、日本では高くて手の出ないハーブティやスパイスを手に取る。
    ついでに、切れかけていた電子辞書の電池も探してかごに入れる。

    旅は非日常を楽しむものだと思うのだけれど、こんな風に見知らぬ街に来るたびにスーパーマーケットで買い物をしたくなる。日本でいつも買ってるあの食材は、いったいいくらなんだろう。どんな形で売られているのだろう。
    私の知らない食材があるのかな。おいしそうだなあ、食べたいな。
    時には苦痛とも感じる日々の献立や買い物の習慣を、旅先でも確認したくなる。ほんと、主婦ってのは因果な商売だと思うけれど、やっぱりスーパーを覗くのは楽しくてやめられない。

    帰り道、スーパーカジノの前の空き地で、ぼんやり並んでおしゃべりをしている4人組をみつけた。のんびりとしたこの街にふさわしい、のんびりした風情に惹かれてこっそりシャッターを切る。



    この2日後。またこの場所を同じ時間に通りかかった私は、この日とまったく同じ光景を目にすることになる。同じ場所、同じ座り位置。この人たちは毎日、この場所に並んで座ってとりとめのない話をするのだろう。

    年を重ねてから生きるなら、こんな場所がいいのだろうと思ってみる。留学先として長いことパリを考えていたのだけれど、思い切ってここに来てよかった。
    こんな風景の中に、たくさんの大切なものを教えてもらう気になる。そんな散歩を終えて、ちょっと元気になる。散歩に出て正解だった。スーパーの袋を提げて、家に戻ろうっと。
    category:フランス留学 | by:武蔵野婦人comments(0) | - | -
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