留学3−3 フォントネー修道院

2009.08.31 Monday 21:36
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    7月21日(火)−3

    アニーの家を出て、世界遺産でもあるフォントネーの修道院に向かう。フォントネーに向かう間は、ブルゴーニュの広大な自然の中を縫うように走るさまざまな風情の道が次々と現われてまったく飽きない。
    ゆるやかに重なり合う牧草地帯の広大な景色が続いた先に、小さな石造りのかわいい村が現われる。林の中を縫うように走る小道の先には、真っ白い牡牛たちが小川のほとりで草を食んでいる。
    「このあたりは、秋になるとよくきのこを採りにくるの」とクロディーンは話ながら、鼻歌まじりで田舎道を運転している。

    フォントネー修道院は、そんな豊かな牧草地と小川にかこまれた自然の中にある。フォントネー修道院とは、シトー派の最古の修道院にあたるもので、1118年に建立されたもの。当時、徐々に聖職者が権力を握って華美になりつつある教会に対して、キリスト教本来の精神にのっとり、「聖ベネディクトの戒律」を厳格に守ることを信条にした派閥を成したのだそうだ。
    ここに住む修道僧たちは厳しい戒律に従って生活していて、世界遺産にも指定されているこの修道院には、その暮らしを彷彿とさせるものがたくさん残っている。モンバールに行くのだと言ったら、多くの人に「フォントネー修道院を見てくるとよい」と言われた。私はちっとも存在を知らなかったのだけれど、ここはどうも、非常に有名なところらしい。



    クロディーンがこの場所にまつわる歴史を説明しながら案内をしてくれた。こんな場所に、何百人もの修道僧が暮らしていた時代があって、彼らは想像を絶するような過酷な労働と宗教儀式に耐えていたのだという。
    シトー派?
    なんだか耳にしたことがあると必死に思い出したのは、ダヴィンチ・コードだ。
    私たちにとってはあまりなじみのないキリスト教の歴史は、時にロマンティックな響きを秘めているけれど、実際にそこにあるものは底知れぬおどろおどろしさを秘めている。
    宗教が華美になっていくことに反発して生まれたシトー派の修道僧たちも、やがてこの地に豊富に眠る鉄をもとにした製鉄業や、敷地内でのさまざまなセカンドビジネスをもとに絶大な権力を持つようになり、やがて内部分裂して衰退していったのだという。
    全盛期には数え切れないほどいた修道士たちも、この場所が明け渡されるようになった最後の時点では3人しか残っていなかった。



    荒廃していく修道院が、朽ち果てたり取り壊されることなく今の状態を維持できたのは、この建物を製紙会社が借り受けて工場として使っていたからなのだそうだ。周囲にたくさんの小川や運河があるこの地は、製紙業にぴったり。広大に広い修道士たちの寝室は紙の倉庫に。製鉄業に使われた釜のある部屋は、乾燥室として使われていた。
    今で言う「居抜き」の買取のようなものなのだな。
    ふーん。不思議なものだ。
    神聖に扱われていた場所を工場にしてしまうなんて罰当たりと思われがちだけれど、だからこそこの場は残ったというのは、ちょっと皮肉だ。



    そんなフォントネー修道院をゆっくりと見学して、家に戻る。今日は本当に盛りだくさんな一日だった。いやはや、部屋に戻って短い昼寝でもしようかな。
    はて。
    そう思ったところでクロディーンのこんな一言。

    「今日はモンバールの広場で夏のマルシェがあるの。バカンスの時期には毎週火曜日がマルシェの日。帰りにちょっと寄っていきましょう」。

    へ、マルシェでっか。
    まだどこかに行くですか。
    しかしマルシェですよね。
    夏季限定、しかも火曜日のみ。
    はいはい、そりゃ行かなくちゃでしょう。行きますとも、行きますよ、はい!

    とりあえず車を家に止めて、モンバールの繁華街へ。道すがら、クロディーンはお気に入りの本屋さんと雑貨店の店主に私を紹介して歩いてくれた。
    いや、元気だな、私たち。
    category:フランス留学 | by:武蔵野婦人comments(0) | - | -
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