スーパーマーケットの悦楽

2008.05.03 Saturday 23:31
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     旅先でうまいものを確かめたくなったら、必ず市場に足を運ぶのだ、と以前バルセロナの章で書いた。

     もうひとつ、街にたどり着いたら必ず足を運びたくなるのが、スーパーマーケット。到着したらすぐ、ミネラルウォーターを求めてスーパーを探す。

     ついでに、あれこれ、あれこれと買ってしまう。
     市場がうまいもの探しなら、スーパーマーケットはおもろいもの探しだ。何時間もかけてこんなに遠くまで来て、それでもなお、毎日している買い物の延長がしたくなる。
     あら、きゅうりが妙にでかくて固そうねえ。え、マーガリンがこんなに大きいの? ってか、缶詰の種類すごくない? …って、そんなこと確認して何が楽しいの? って思うんだけど、でも楽しいのだ。ほんと、主婦って因果な商売ね(笑)。


     ヨーロッパのこじんまりとしたスーパーも、国によって特徴があってとても楽しい。でも、スーパーマーケットといえば、やはり、本場アメリカにまさるものはなくって、旅先としてはアメリカにはとんと足が向かない私だけれど、ハワイとかグアムとか、そんなアメリカンなリゾート地に行ったら、何度も何度もスーパーに足を運んでしまう。

     特に、Kマートは巨大でお気に入りのスーパーのひとつ。



     このところのアメリカの向かっている方向や、今のアメリカのカルチャーシーンにはとんと興味がなくなってしまったけれど、それでも1960年代生まれの私を育てたのは、紛れもなくアメリカの文化だった。
     日本一号店におそるおそる足を運んで、生まれてはじめて食べたマクドナルドのハンバーガー。
     父や母が特別なもののように語る、西部劇やミュージカルの話をあこがれのまなざしで聞きながら育ち、おこずかいをためて名画座で「卒業」や「追憶」を背伸びした気分で観て、スーパーカーだの、スマイルマークだの、なんだかしらんがアメリカさんからやってきたハイカラなものにすぐ飛びついていた中学生の頃の私。
     NYもLAもサンフランシスコもほとんど区別がつかず、それでもそのどこにでもいいからいつか絶対いきたいと願った、夢の国アメリカ。


     あれからン十年。さまざまな国を旅して、文化の豊穣さや、食の豊かさの面では格段にヨーロッパを愛するようになってしまったけれど、それでもアメリカのスーパーマーケットに並ぶチープでサイケなプラスチックの日用品やおもちゃ類は、いまでも私のこころかきたてる。

     それはなんというか、子どもの頃にいっぱい記憶の中に貯金している、当時私がアメリカに感じた「わくわく」「どきどき」を一気に引き出ような不思議な感じ。
     それに、チープで長持ちしなくて、ちっともエコじゃなくって。でもそんなチープでサイケな小物を山ほど買うなんて、主婦は普段の生活ではしないんだよね。
     そういう、普段は理性で封印されているような部分が、リゾート地のスーパーマーケットでは無防備に解き放たれてしまう。「今日だけだから」と、なんだかどうでもいいようなものを大きなカートに入れて、スーパーの中を練り歩く。
     完全に頭のねじがはずれていく。
     この時間が、私はたまらなく楽しい。

     でもね。ああ、こんなに買ってしまったよ、どうしよう。。。。。なんて落ち込むぐらいカートを山盛りにしても、まあ、せいぜい1万円ぐらいなのだ。免税店やブランド店の買い物より、ずっと効率がよくて安上がりなのであーる。
     こういうとき、庶民に生まれてよかったなあと思う。
     だって、これでほんとのほんとに、すごく幸せになれるんだもの。



     写真はハワイ島で買ったおみやげの数々。もうむちゃくちゃだ。大量。これだけのおみやげをスーツケースにつめて帰ってきたのだ。ああ、楽しい。



     生鮮品や調味料を扱うスーパーも楽しいけれど、私が好きなのはアメリカンなチープなキッチングッズとおもちゃたち。
     3枚で10ドル前後で売られているかわいい柄のキッチンクロスとか、一枚5ドルぐらいの派手派手しい柄のビニール製のランチョンマット。日本では絶対に手にしない、プラスチック製の大きなコップ(これに大量に氷を入れて、コーラを飲むと無性においしい)。

     あとは、じゃらじゃらと20個ぐらい束になった安っぽいキーホルダーとか、日本では高すぎて絶対に手を出さないレゴの大箱のセットとか。(最初の写真の中央にある箱はパイレーツオブ・カリビアンの海賊船のレゴ。日本じゃ絶対に買えない=高くて)。



     左上でビニール袋に入っているいろとりどりのものは、びよんびよんと手足が伸びるべたべたしたゴム製のかえるのおもちゃ。使い道は何もない。でもたまに取り出して、足をびよんびよんと引っ張ってみたりする。引っ張ったあとに、勢いよく手を離すと「ぱちん」と音がして楽しい。
     旅行先のスーパーマーケットだから、こんな無駄な買い物が許される。うれしい。


     その土地で有名なお店を調べて、ちょっと奮発していいものを手に入れる楽しみも、とても素敵だけれど、意外と、こんな風にスーパーマーケットで理性のねじをちょっとゆるめて買ってきたような、どうでもいい日用品が、実はわが家では一番活躍していたりする。
     大切すぎないほうが、心置きなくいっぱい使える。日用品って、意外とそういうことが大事なのだと思う。

     これを書いている今も、ダイニングテーブルの上にあるのは、グアムで買った果物柄のランチョンマットと、おそろいのプラスチックのコップ。足元は3足5ドルで買ったショートソックス。


     スーパーマーケットはえらい。スーパーマーケット万歳!

    category:アメリカ旅歩き | by:武蔵野婦人comments(0) | - | -

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